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相続で共有になった不動産、合意できないときの整理と手続

売却ノウハウ 👁️ 3 views
相続で共有になった不動産、合意できないときの整理と手続

相続で共有となった不動産は、使用・管理・変更で必要な合意が異なります。遺産分割協議がまとまらない場合の家庭裁判所での調停・審判、相続後の共有物分割請求など、状況別の選択肢を整理します。

📑 目次

スタッフスタッフ相続人が3人いて、不動産の話がまとまらない場合、誰か1人が決めて進めることはできないのですか?

スタッフスタッフ共有者の1人が住んでいると、使い方や費用の話まで止まりやすいですよね。民法第249条の使用のルールも関係するのでしょうか?

社長社長はい。まず、その不動産が遺産分割をすべき共同相続人間の相続財産なのか、遺産分割後の共有物なのかを分けて確認することが重要です。進める手続が異なる可能性があります。

スタッフスタッフ共有なら、同じ共有物分割請求をすればよいわけではないのですね。

社長社長そのとおりです。共同相続人間の相続財産である共有物は、原則として共有物分割請求ができません。協議が調わない場合などは、家庭裁判所に遺産分割を請求する仕組みがあります。

スタッフスタッフ最初に現在の権利関係と、何を決めたいのかを切り分けることが出発点になるのですね。

最初に分けるべきは「遺産分割の段階」か「通常の共有」か

共同相続人がいる場合、相続財産は共有に属します。ただし、遺産分割をすべき共同相続人間の相続財産である共有物又は共有持分については、原則として共有物分割請求はできません。話合いが調わない場合などには、各共同相続人が家庭裁判所に遺産分割を請求できます。

相続人間で遺産分割の話合いがつかない場合、家庭裁判所の遺産分割調停又は審判を利用できます。裁判所によると、調停が不成立の場合には自動的に審判手続が開始されます。

実務では、話合いの席で民法第249条、第251条、第252条といった条文名だけを並べる前に、登記上の共有者ごとの持分と、遺産分割の対象であるかを確認します。不動産の権利に関する登記では、登記名義人が2人以上の場合、各登記名義人ごとの持分が記録されます。

動く順番は次のとおりです。1. 登記上の共有者と各持分を確認します。2. 分割しない旨の定めが登記されていないかを確認します。3. 遺産分割をすべき相続財産か、通常の共有物かを整理します。4. 使用・管理・変更・分割のうち、何について合意が必要かを整理します。5. 協議が整わない場合は、整理した区分に応じて家庭裁判所への遺産分割請求又は裁判所への共有物分割請求を検討します。

共有不動産で行為ごとに異なる意思決定

行為・場面確認すべき意思決定
共有物の全部の使用各共有者は持分に応じて使用可能。別段の合意がなければ、持分を超える使用の対価の償還が必要
形状又は効用の著しい変更共有者全員の同意
著しい変更を伴わない変更・管理持分価格に従った過半数
保存行為各共有者が単独で可能
管理費用その他の負担各共有者が持分に応じて負担
共有物の分割協議が調わない又は協議できないときは裁判所に請求可能

「使う・管理する・分ける」を混ぜずに話し合う

共有者は、共有物の全部について持分に応じた使用をすることができます。一方で、共有物を使用する共有者は、別段の合意がない限り、自己の持分を超える使用の対価を他の共有者に償還する義務を負います。また、共有者には善良な管理者の注意をもって共有物を使用することが求められます。

管理に関する事項は、共有者の人数ではなく、持分価格に従った過半数で決します。形状又は効用の著しい変更を伴う場合は全員の同意が必要ですが、そのような著しい変更を伴わない変更は管理事項として扱われます。保存行為は各共有者が単独で行うことができます。

よくある失敗は、住み方や費用の話が未整理のまま、すぐに売却又は分割の結論だけを求めることです。使用、管理、変更では必要となる合意の範囲が異なるためです。ここを分けないと、誰が何を決められるのかが曖昧なまま話合いが止まってしまうことがあります。

共有状態を続ける場合は、使用方法、管理費用の負担、管理に関する決め方を、当事者間で確認しておくことが考えられます。これらの書面化について一般的な義務又は標準書式は今回確認できませんが、後の認識違いを避けるため、合意内容を残すかは個別に検討する余地があります。

協議がまとまらない場合の分割の整理

遺産分割をすべき共同相続人間の相続財産かを確認
相続財産である場合:家庭裁判所へ遺産分割を請求。調停が不成立なら審判手続が開始
通常の共有物で協議が調わない又は協議できない場合:裁判所へ共有物分割を請求
分割方法を検討:現物分割、代償分割、換価分割の考え方
裁判所は現物分割又は債務負担による持分取得を定めることがあり、分割できない場合等には競売を命ずることが可能

分割・持分の扱いで確認したい権利関係

通常の共有物では、各共有者はいつでも共有物の分割を請求できます。ただし、共有者間では5年を超えない期間で分割しない旨を契約でき、更新する場合も更新時から5年を超えることはできません。この分割禁止の定めは、不動産の権利に関する登記の登記事項です。

裁判所による共有物分割では、現物で分割する方法のほか、共有者に債務を負担させて他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法が定められています。これは、共有者の一部が不動産を取得し、他の共有者に金銭を支払う代償分割の考え方に当たります。現物分割又はこの方法で分割できないとき、又は分割により価格が著しく減少するおそれがあるときは、裁判所は競売を命ずることができます。換価分割は、こうした換価して分ける方法を検討する場面で整理します。

遺産分割の審判では、家庭裁判所が必要と認めるとき、遺産の全部又は一部の競売換価を命ずることができます。必要かつ相当なときは、相続人の意見を聴いて任意売却による換価を命ずることもできます。また、特別の事情があると認めるときは、共同相続人の一人又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて現物分割に代えることができます。

持分譲渡や第三者への売却を検討する場面では、まず登記上の各持分を確認します。不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなければ第三者に対抗できません。法務局の案内では、所有者の持分について所有権移転をする場合の登記目的を「○○持分全部移転」と記載しています。また、共有者の一人が他の共有者に対して有する共有物に関する債権は、その特定承継人に対しても行使できます。個別の売却方法や登記手続は、権利関係を確認したうえで検討してください。

✅ 話合いの前に確認するチェックリスト

  • 登記上の共有者ごとの持分の確認
  • 分割しない旨の定めの登記の有無
  • 遺産分割をすべき相続財産かの整理
  • 使用者の持分を超える使用の有無
  • 管理費用を持分に応じて負担しているか
  • 著しい変更に全員の同意があるか
  • 管理事項を持分価格の過半数で決めるか
  • 使用方法と費用負担の合意内容を残すか

話が進まないときほど、手続の入口を間違えない

まとめると、相続で共有名義となった不動産では、まず遺産分割の対象であるかを確認し、使用・管理・変更・分割を分けて整理することが重要です。共有者間で必要となる合意は、行為の内容によって異なります。

協議が整わない場合、遺産分割をすべき共同相続人間の相続財産であれば家庭裁判所の遺産分割調停又は審判があり、通常の共有物であれば裁判所への共有物分割請求が検討対象になります。現物分割、代償分割、換価分割の考え方を踏まえ、登記上の持分や費用負担も確認しながら進めましょう。ご不明な点は、無料相談で個別にお答えしています。お気軽にご相談ください。

出典: e-Gov法令検索官公庁(courts.go.jp)法務省

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✍️ 執筆者

小野 海士 (宅地建物取引士)

不動産実務15年