未登記の建物がある家を売る前に確認すること
表題登記がない建物は、所有権移転登記を申請できません。売却を考えたら、まず登記事項証明書で建物の状況を確認し、表題登記や必要書類、固定資産税上の名義変更との違いを整理します。
📑 目次
ミナお客様から「相続した家を売りたいのに、建物の登記が見当たらない」とご相談がありました。
タケさん結論から言うと、表題登記がない建物は、所有権移転登記を申請できない。表題登記は、建物の場所や種類を最初に登記する手続のことだ。
ミナ所有権移転登記とはどういう意味ですか。
タケさん売主から買主へ、所有者の登記名義を移す手続だよ。建物に表題登記がなければ、その手続へ進めない。
リク手順としては、誰がいつまでに表題登記を申請するのかを先に整理する形でよいですか。
未登記の建物がある家を売りたいとき、先に整えること
表題登記がない建物は、所有権移転登記を申請できません。所有権移転登記とは、売主から買主へ所有者の登記名義を移す手続です。そのため、建物が未登記のままでは、売買の前提が整いません。売却を考え始めたら、価格や契約の話より先に、建物の登記があるかを確かめます。
場面を想像してみてください。相続した家を売ろうとして、土地・建物の登記事項証明書を取ります。登記事項証明書は、法務局で取れる土地建物の登記内容を写した書類です。土地の記録は見つかっても、建物の記録がないことがあります。この時点で、建物については所有権移転登記の申請へ進めません。
表題登記は、建物の表示に関する最初の登記です。建物の所在地、家屋番号、種類、構造、床面積などが記録されます。所有権登記がない建物では、所有者の氏名と住所も記録されます。所有者が複数なら、それぞれの持分も記録されます。
建物を新築した所有者には、所有権を取得した日から1か月以内に建物表題登記を申請する義務があります。区分建物以外で、表題登記がない建物を取得した人にも同じ期限があります。この1か月は、売買契約日や引渡日から数えるものではありません。所有権を取得した日から数えます。正当な理由なく怠ると、罰則の対象となり得ます。詳細は不動産登記法を確認してください。
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表題登記は、建物の情報を最初に記録する手続です
不動産登記法は、土地や建物の登記を定める法律です。この法律では、不動産に土地だけでなく建物も含まれます。登記は、建物や権利の内容を公に示し、取引を安全に進めるための仕組みです。
建物の表題登記では、所在地の市区郡町村字と土地の地番が登記事項になります。家屋番号、建物の種類、構造、床面積も記録されます。建物に名称があれば、その名称も記録されます。附属建物があれば、その所在地、種類、構造、床面積も記録されます。
ここで大切なのは、固定資産税の記録と登記の記録を混同しないことです。固定資産税は、土地や建物にかかる税です。未登記家屋でも固定資産税が課税され、自治体の台帳に所有者が登録される運用があります。しかし、その名義の届出は、登記上の名義変更とは別の手続です。
売却を急がず、登記の順番を決めます
動き方は、順番を決めると迷いません。1. まず、土地・建物の登記事項証明書を取得します。建物の登記があるか、表題登記があるかを確認します。登記事項証明書の取得は法務局から案内されています。
2. 建物に表題登記がなければ、建物表題登記を進めます。法務局は、表示に関する登記を代理する専門家として、土地家屋調査士を案内しています。土地家屋調査士は、建物の場所や形などを登記する手続を扱う専門家です。
3. 申請に使う書類をそろえます。法務局の申請例では、建物図面、各階平面図、所有権証明情報、住所証明情報が示されています。所有権証明情報は、所有者であることを示す情報です。必要な添付書類は手続ごとに異なります。
4. 建物所在地を管轄する法務局へ申請します。法務局は、建物のある場所を扱う法務局です。窓口への提出のほか、管轄法務局への郵送も案内されています。内容に不備があると、登記所から連絡があり、訂正や書面の再作成が必要になります。
5. 表題登記の後は、所有権保存登記と所有権移転登記を整理します。所有権保存登記は、建物について最初の所有権の登記をする手続です。法務局は、権利に関する登記を代理する専門家として司法書士を案内しています。司法書士は、所有者の登記名義を扱う手続を代理する専門家です。
未登記の建物を売却へ進める流れ
ミナお客様から「固定資産税の名義は変えたから、建物の登記も済んでいると思っていた」とご相談がありました。
タケさんそこはよくある取り違えだな。自治体へ出す未登記家屋の名義変更届は、固定資産税上の名義の手続だ。登記の名義を変える手続とは別なんだ。
ミナなぜ、この取り違えが起きるのでしょうか。
タケさんどちらも所有者の名前を扱うからだよ。でも、税の台帳と法務局の登記記録は別に動く。所在地の自治体への届出制度があるかも、登記とは分けて問い合わせる。
リク担当を分けます。表題登記は所有権取得日から1か月以内に進め、自治体の届出は所在地の自治体へ確認する段取りですね。
✅ 売却前に手元で確認する項目
- 建物の登記事項証明書を取得したか
- 表題登記の有無を証明書で確認したか
- 建物の所有権を取得した日を特定したか
- 建物所在地を扱う法務局を確認したか
- 土地家屋調査士へ相談する準備があるか
- 自治体への名義届出の有無を聞いたか
未登記のまま売却の話を進めないために
まとめると、表題登記がない建物は所有権移転登記を申請できません。未登記の建物がある家を売る場面では、まず建物の登記事項証明書を取り、表題登記の有無を確認します。その後、建物表題登記、所有権保存登記、所有権移転登記の順番を整理します。
固定資産税上の名義に関する届出は、登記の名義変更とは別です。建物所在地の自治体への手続も、登記と混ぜずに扱います。売却の前提を整えるため、取得日から1か月以内という期限も見落とさないことが大切です。ご不明な点は、無料相談で個別にお答えしています。お気軽にご相談ください。
参考(グラウンディング): 全日本不動産協会 重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。(売買編)解説書 / 全日本不動産協会 不動産売買契約書 条項例集(作成時点)
この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取や売却のご相談を全国対応で手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
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