災害の危険がある区域の家は売れる?建築制限の確認点
災害危険区域や土砂災害特別警戒区域などでは、地域や区域の種類により建築・開発に制限が設けられます。既存の建物が直ちに使えなくなるとは限りません。売却前に指定内容、自治体の条例、建て替え時の条件を確認しましょう。
📑 目次
ミナお客様から「売却を考えている家が災害危険区域に入っているようだ」とご相談がありました。災害危険区域は、災害の危険が著しいとして自治体が定める区域ですか。
タケさんそうだよ。結論から言うと、区域の名前だけで建築の話を決めないことだ。災害危険区域は、自治体の条例、つまり地域ごとのルールで指定と建築制限が決まる。
リク手順として、まず所在地を起点にして、区域指定の根拠となる条例名をたどる順番でよいですか。
家の所在地に表示が出たら、区域名とルールを分けて見ます
売却を考える家について、地図に区域の表示が見つかる場面があります。このとき大切なのは、区域名だけを見て建築の話を終えないことです。まず、どの制度による表示かを分けます。次に、その制度で建築について何が定められているかを読みます。
災害危険区域は、津波、高潮、出水などによる危険が著しい区域について、自治体が条例、つまり地域ごとのルールで指定できる仕組みです。この条例には、住居用建築物、つまり人が住むための建物の建築禁止など、必要な建築制限、つまり建て方や用途にかかるルールを定めることがあります。
土砂災害警戒区域土砂災害のおそれがある区域として都道府県が指定した区域(通称イエローゾーン)。重説では区域内かどうかの説明が必要です。は、土砂災害のおそれを周知し、避難の仕組みを整える区域です。土砂災害特別警戒区域土砂災害で建物が損壊し住民に危険が及ぶおそれが特に高い区域(通称レッドゾーン)。開発や建築の構造に規制がかかります。は、土砂災害による大きな被害のおそれがある区域です。特定の開発の許可や、建物の構造に関するルールの対象になります。いずれも都道府県知事が指定します。
同じように見える区域の表示でも、指定する人と建築に関わる仕組みは同じではありません。国土数値情報の災害危険区域データには、区域指定の根拠となる条例名を示す項目があります。所在地から根拠となる条例名までたどることが、説明を始める入口になります。
売れないと言われた物件でも、相談はできます。再建築不可・残置物あり・長年の放置もそのままでどうぞ。相談は無料です。
無料で相談してみる区域名ごとに見る建築に関わる仕組み
| 区域の名前 | 指定する人 | 建築に関わる仕組み |
|---|---|---|
| 災害危険区域 | 自治体 | 条例で決める |
| 土砂災害警戒区域 | 都道府県知事 | 周知と避難の仕組み |
| 土砂災害特別警戒区域 | 都道府県知事 | 許可と構造の基準 |
条例を読むときは、住居用の建物に注目します
災害危険区域では、住居用建築物の建築禁止その他の建築制限を、区域指定の条例で定めます。国土交通省も、制限の例として住居の用に供する建築の禁止を挙げています。したがって、区域の表示を見た後は、根拠となる条例に住居用建築物の扱いがどう書かれているかを読みます。
自治体による内容の例として、大阪府では第一種区域で住居用建築物を原則として建築できないとしています。また、第二種区域で住居用建築物を建築する場合には、主要構造部、つまり建物を支える大切な部分に、耐力のある構造を求めています。区域指定と建築制限が条例で決まることを、所在地ごとに押さえる必要があります。
進め方は、1. 売却対象の所在地を控えます。2. 区域指定の表示を見ます。3. 根拠となる条例名をたどります。4. 条例本文で、住居用建築物について書かれた建築制限を読みます。区域名だけで説明を急がず、この順番で情報を分けると整理しやすくなります。
ミナお客様から「土砂災害特別警戒区域なら、建物にはどんなルールがあるのか」とご相談がありました。構造規制とはどういう意味ですか。
タケさん建物を、想定される土砂災害の衝撃に対して安全な構造にするための基準だよ。土砂災害特別警戒区域では、居室、つまり人が生活に使う部屋を有する建物に構造耐力の基準が定められている。
リク手順として、災害危険区域の条例と、土砂災害特別警戒区域の許可や構造のルールを、同じものとして扱わない整理でよいですか。
所在地から建築のルールを読む順番
すでに建っている家と、これから建てる話は分けます
災害危険区域について、国土交通省は、すでに建っている建築物、つまり現に存在する建物の存続自体を禁ずるものではないと説明しています。この点は、区域の表示を見たときに、まず分けておきたい事実です。既にある建物の存続と、新たな建築にかかるルールは同じ話ではありません。
一方で、新たに建築する話では、条例による建築制限を読みます。湿潤な土地や出水のおそれが多い土地に建築物を建築する場合には、盛土、つまり土地を高くする工事や、地盤改良、つまり地面を強くする工事など、安全上必要な措置を講じる定めもあります。
土砂災害特別警戒区域では、住宅宅地分譲などの開発行為に許可制度があります。居室を有する建築物には、土砂災害の衝撃に対する構造耐力の基準も置かれています。また、著しい危害のおそれが大きいと認められるときは、都道府県知事が移転などを勧告できる仕組みがあります。
よくある失敗は、区域名だけを見て、住居用建築物についての説明まで済ませてしまうことです。これは、災害危険区域では条例が建築制限を定め、土砂災害特別警戒区域では許可制度と構造の基準があるためです。区域の名称、指定する人、建築に関わる仕組みを分けると、話を混ぜずに整理できます。
水害ハザードマップ、つまり水害時の想定を地図に示すものでは、対象物件の所在地が重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。、不動産取引で買主へ重要な内容を説明する書類の対象項目に加えられています。災害危険区域も、法令上の制限として重要事項説明の対象一覧に掲げられています。所在地に関する表示と建築のルールを、別々に取り違えないことが大切です。
✅ 所在地から区域と建築のルールを読む確認項目
- 売却対象の物件所在地を住所まで控えたか
- 区域指定の根拠となる条例名まで見たか
- 住居用建築物の制限を条例本文で読んだか
- 土砂災害特別警戒区域かを区別したか
- 既存建築物と新たな建築を分けて整理したか
- 水害ハザードマップの所在地表示を見たか
区域名だけで話を進めず、根拠となるルールまで読みます
まとめると、災害危険区域は自治体の条例で区域指定と建築制限が定められます。土砂災害特別警戒区域には、開発の許可や建物の構造に関する仕組みがあります。すでに建っている建物の存続と、新たな建築の話も分けて整理します。
売却を考える場面では、所在地から区域の表示を見て、根拠となる条例名と住居用建築物の扱いまで読みます。区域名だけで結論を急がず、指定の仕組みと建築のルールを分けて扱うことが出発点です。ご不明な点は、無料相談で個別にお答えしています。お気軽にご相談ください。
出典: e-Gov法令検索 / 国土交通省 / 官公庁(nlftp.mlit.go.jp) / 大阪府 / 沖縄県 / 岐阜県 / 福井県
この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取や売却のご相談を全国対応で手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
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