私道・セットバックがある土地、売却面積と精算範囲の考え方
登記上の面積と、売買で実測して精算する面積は必ずしも同じとは限りません。私道部分やセットバック部分を含めるのか、有効な宅地部分をどう扱うのか、図面と契約条件で確認したいポイントを整理します。
📑 目次
ミナお客様から「相続した土地に私道負担とセットバックがある。売る面積はどこまでですか」とご相談がありました。
タケさん結論から言うと、登記の地積(登記に記録された土地の面積)と、敷地面積(建物を建てる計算に使う土地の面積)は同じ数字として扱わないこと。私道の持分(私道を共同で持つ割合)を代金に入れるか、実測精算(測った面積の増減を代金に反映する精算)に入れるかは、契約書で決める。
リク手順としては、契約前に私道持分と実測精算の対象を契約書へ書く形でよいですか。
売る面積と建てられる面積を混ぜない
土地を売るとき、まず見るのは登記の地積です。地積は、一筆の土地の面積を指します。土地の登記記録の表題部には、所在、地番、地目、地積などが記録されます。売買契約書でも、登記簿の記載による土地表示と地積を使う形があります。
一方で、建てられる規模を考えるときは敷地面積を見ます。セットバック部分は、建築対象敷地面積から除かれます。建蔽率敷地面積に対して建物を建てられる面積(建築面積)の割合。用途地域ごとに上限が決まっており、敷地いっぱいに建てられるわけではありません。・容積率敷地面積に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合の上限。建物の総ボリュームを制限する指標です。(建てられる規模を決める計算)にも入れません。登記の地積に入っていても、建てられる面積にそのまま入るわけではありません。
私道負担(私道として使われる部分や持分)がある土地では、もう一段分けて考えます。私道の持分を売買目的物に含めるか、売値の面積に入れるか、実測精算の対象にするかは、契約書で決めます。面積の話を1つの数字にまとめると、代金の根拠と建築の根拠が混ざります。
国土交通省の取引情報では、表示面積に実測面積(測って得た面積)を用い、実測面積が分からないときは登記簿の面積を表示しています。売却でも、登記の面積、測った面積、建築に使う面積を分けて見せると、話が整理しやすくなります。
売れないと言われた物件でも、相談はできます。再建築不可・残置物あり・長年の放置もそのままでどうぞ。相談は無料です。
無料で相談してみる面積ごとの役割の整理
| 見る面積 | 何を表すか | 売却時の役割 |
|---|---|---|
| 登記の地積 | 登記に記録された土地の面積 | 土地表示の出発点 |
| 実測面積 | 測って得た土地の面積 | 精算対象に書ける |
| 敷地面積 | 建てられる規模の計算に使う面積 | 建物計画の前提 |
セットバック部分は売れても敷地面積には入れません
セットバック部分(道路のために後退させる部分)は、売却する土地の中にあっても、敷地面積には入れません。東京都は、前面道路が4メートル未満の場合に新築や建替えをするとき、建物、門、塀などを道路中心線から2メートルまで後退させる案内をしています。
ただし、すべての土地で道路中心線から2メートルとは限りません。道路の反対側ががけ地、川、線路敷地などの場合は、道路境界線から4メートルの位置を道路境界線とみなす説明があります。3項道路(後退距離が1.35メートル以上2メートル未満で指定される道路)では、後退距離が緩和されることもあります。
そのため、セットバック部分を自分で一律に計算しないことが大切です。建築ルールを扱う役所である特定行政庁に、対象地の道路指定と後退距離を尋ねます。その回答を、売る面積と建てられる面積を分ける材料にします。
ミナお客様から「実測で面積が変わったら、登記も直すのですか」とご相談がありました。
タケさん登記簿の地積と実測面積が違うときに直す手続が、地積更正登記(登記簿の面積を実測面積へ直す登記)だ。測量は、土地家屋調査士(登記上の土地の境目を明らかにする専門家)の仕事になる。
リク測量を頼む段階と、契約書へ精算対象を書く段階を分けて進めます。契約前に書面へ落とす形ですね。
売る面積と実測精算を決める順番
実測精算は対象となる土地を契約書で決めます
私道に関する負担は、建物の賃貸借以外の契約では、重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。(契約前に物件の大切な点を説明する書面)で扱う事項です。私道負担の面積や持分を見たうえで、売買代金に入れる範囲と、実測精算に入れる範囲を契約書に残します。
東京都の土地・建物売買契約書の参考例には、実測精算の対象となる土地を書く欄があります。私道負担がない場合には登記簿面積を対象とする選択肢が示されています。私道負担がある場合には、それを除く有効宅地部分(私道分を除いた宅地として使う部分)を対象とする選択肢があります。
同じ参考例には、登記簿面積と実測面積に増減が出たときの精算単価を定める説明があります。1平方メートル当たりの精算単価(増減した面積にかける額)を書く欄もあります。どの面積を増減計算に使うのかを先に決めると、代金の計算を追えます。
よくある失敗は地積だけで代金の話を進めることです
よくある失敗は、登記の地積だけを見て、売る面積、建てられる面積、実測精算の対象を同じものとして扱うことです。起きる理由は、セットバック部分も登記の地積には含まれ得る一方、敷地面積には入らないからです。私道持分も、売値に含める範囲と精算対象にする範囲を分けて決める必要があります。
測量が必要になったときは、不動産会社が測量を行うのではありません。土地家屋調査士が、不動産の表示に関する登記に必要な調査と測量を行います。分筆登記(土地を分ける登記)や地積更正登記では、測量と登記所へ出す資料の作成が必要になります。
✅ 契約前に面積の話をそろえる確認項目
- 登記事項証明書で地積の記載を読んだか
- セットバック部分を敷地面積から外したか
- 私道持分を代金に入れるか契約書へ書いたか
- 実測精算の対象土地を契約書へ書いたか
- 1平方メートル当たりの精算単価を書いたか
- 測量は土地家屋調査士に相談したか
面積を3つに分ければ、代金の話は整理できます
まとめると、売却では登記の地積、実測面積、敷地面積を分けて扱います。セットバック部分は敷地面積に入れません。私道の持分を売値に入れるか、実測精算の対象にするかは、契約書で決めます。測量が必要なら、土地家屋調査士へ相談します。
ご不明な点は、無料相談で個別にお答えしています。お気軽にご相談ください。
出典: e-Gov法令検索 / 法務省 / 官公庁(reinfolib.mlit.go.jp) / 国土交通省 / 自治体(juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp) / 北海道 / 自治体(city.saitama.lg.jp) / 自治体(city.kuwana.lg.jp) / 自治体(city.iwaki.lg.jp) / 自治体(city.kobe.lg.jp)
この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取や売却のご相談を全国対応で手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
不動産の売却・処分にお困りですか?
「再建築できない」「残置物が残っている」「他社に断られた」——そういう物件こそ、オッティモにご相談ください。片付けや解体をしてからでなくて大丈夫です。
相談・査定は無料全国どこでも対応しつこい営業はしません