相談 電話 LINE

温泉法をわかりやすく解説|掘削許可と湧出地の建築制限の留意点

重要事項説明書 解説シリーズ • • 👁️ 1575 views
温泉法をわかりやすく解説|掘削許可と湧出地の建築制限の留意点

温泉をゆう出させる目的の土地掘削には都道府県知事の許可が必要で、有効期間は2年。許可要件や増掘・動力装置の規制、他目的掘削による影響防止命令、宅建業法上の重要事項説明・告知義務の留意点を一次ソースに基づき整理します。

📑 目次

スタッフスタッフ社長、温泉付きの物件を扱うことになったんですけど、温泉ってそもそも勝手に掘っていいものなんですか?

スタッフスタッフ現場でもよく聞かれます。『うちの土地で温泉出ないかな』って軽く言われるんですけど、手続き的にはどうなるんですか?

社長社長良い質問ですね。結論から言うと、温泉をゆう出させる目的で土地を掘削するには都道府県知事の許可が必要です。温泉法という法律で決まっています。

スタッフスタッフえっ、許可制なんですか!

温泉法とは何か

温泉法は昭和23年法律第125号として制定された法律です。温泉を保護し、温泉の採取等に伴って発生する可燃性天然ガスによる災害を防止し、温泉の利用の適正を図って公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。所管は環境省です。

単に「温泉を守る」だけでなく、可燃性天然ガスによる災害防止という安全面の目的も併せ持っている点が特徴です。実務で物件に温泉が絡む場合、この法律の許可関係を押さえておく必要があります。

売れないと言われた物件でも、相談はできます。再建築不可・残置物あり・長年の放置もそのままでどうぞ。相談は無料です。

無料で相談してみる

スタッフスタッフその掘削許可って、誰でも申請できるんですか?

社長社長温泉法第3条で、温泉をゆう出させる目的で土地を掘削しようとする者は、環境省令で定めるところにより都道府県知事に申請して許可を受けなければなりません。ただし第3条第2項で、掘削に必要な土地を掘削のために使用する権利を有する者でないと許可は受けられません。

スタッフスタッフ土地を使う権利がないとダメ、ってことですね。じゃあ許可はどういう時に出ないんですか?

社長社長第4条がポイントです。知事は原則として許可しなければならないのですが、掘削が周囲の温泉のゆう出量・温度・成分に影響を及ぼすと認めるとき、可燃性天然ガスによる災害防止の技術基準に適合しないと認めるとき、公益を害するおそれがあると認めるとき等は別、という構造になっています。

温泉掘削許可(温泉法第3条・第4条)の主な要件

項目内容
許可権者都道府県知事(第3条)
申請者の資格掘削に必要な土地を掘削のために使用する権利を有する者(第3条第2項)
主な不許可事由周囲の温泉のゆう出量・温度・成分に影響を及ぼすと認めるとき/災害防止の技術基準に不適合と認めるとき/公益を害するおそれがあると認めるとき 等(第4条)
欠格事由この法律の規定により罰金以上の刑に処せられ執行終了等から2年を経過しない者、許可取消しの日から2年を経過しない者、その役員がこれらに該当する法人(第4条)
許可条件温泉の保護・可燃性天然ガスによる災害の防止その他公益上必要な条件を付し、変更できる(第4条第3項)

スタッフスタッフ許可をもらったら、ずっと有効なんですか?

社長社長いいえ、第5条で有効期間は許可の日から起算して2年です。災害その他やむを得ない理由で期間内に工事が終わらない見込みのときは、一回に限り2年を限度に更新できます。

スタッフスタッフ工事が終わったあとはどうなります?

社長社長第8条で、工事を完了したり廃止したりしたら、遅滞なく環境省令の定めにより知事に届け出なければなりません。それと、既にある温泉でも、第11条でゆう出路を増掘したり、ゆう出量を増やすために動力を装置したりするときも知事の許可が必要です。

スタッフスタッフなるほど、新規だけじゃなくて増掘や動力装置も許可対象なんですね。

温泉掘削許可の手続きの流れ

申請書を作成(申請者の住所氏名、温泉の利用目的、土地の所在・地番・地目及び付近の状況、湧出路の口径・深さ等の掘削工事の施行方法を記載)
→
都道府県知事へ申請(温泉法第3条/施行規則)
→
知事の審査(第4条の不許可事由に該当しなければ許可。公益上必要な条件が付される場合あり)
→
許可(有効期間は許可の日から2年。一回に限り2年を限度に更新可能)
→
工事の完了又は廃止後、遅滞なく知事へ届出(第8条)

スタッフスタッフところで、温泉を出すつもりはなくても、たまたま温泉に影響しちゃう掘削ってありますよね?水井戸とか。

社長社長良いところにお気づきですね。温泉をゆう出させる目的がない掘削、たとえば地下水採取目的の水井戸掘削や地質・地熱構造調査の掘削は、第3条の許可は不要です。ただし第14条で、温泉をゆう出させる目的以外の掘削で周囲の温泉のゆう出量・温度・成分に著しい影響が及ぶ場合、公益上必要があれば、知事が影響防止の必要な措置を命ずることができます。

スタッフスタッフ許可は要らなくても、措置命令の対象にはなり得るということですね。これは現場で誤解されやすいポイントです。

社長社長そうです。それと第13条で、知事は掘削許可等の処分で隣接都府県の温泉に影響を及ぼすおそれがあるときは、あらかじめ環境大臣に協議しなければなりません。広域に影響する世界だということですね。

スタッフスタッフ我々の本業に戻すと、重要事項説明宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。ではどう扱えばいいんでしょう?

社長社長宅建業法第35条宅地建物取引業法で、契約の前に買主・借主へ重要事項を書面で説明する義務を定めた条文。重要事項説明書(重説)の根拠となる規定です。第1項は、契約成立までに宅地建物取引士をして書面を交付して重要事項を説明させる義務を定めています。第1項第2号で、都市計画法・建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものの概要を説明することを求めています。

スタッフスタッフ温泉法もその政令で定める法令に入ってるんですか?

社長社長入っていません。宅地建物取引業法施行令第3条第1項が列挙する法令を1号から最後まで確かめましたが、温泉法はありません。条文全体に「温泉」の語も出てきません。つまり温泉法は、第35条第1項第2号でいう「法令に基づく制限」としての法定の説明事項ではないということです。ただし第47条第1項で、取引の相手方の判断に重要な影響を及ぼす事実を故意に告げなかったり不実を告げたりするのは禁止されています。温泉の掘削許可の有無や条件、増掘・動力装置の許可、隣接への影響といった事情が判断に重要なら、説明の検討対象になり得る、という整理が安全です。

スタッフスタッフ35条の列挙に入るかどうかとは別に、47条の不告知禁止の観点でも見るべきなんですね。

社長社長そういうこと。あと説明のときは第35条第4項で宅地建物取引士証を提示するのも忘れんようにな。

温泉地域の指定について

温泉法に基づき、環境大臣は温泉の公共的利用増進のための地域として国民保養温泉地を指定することができます。国民保養温泉地は、温泉利用の効果が十分期待され、健全な保養地として活用される温泉地を環境大臣が指定するものです。

なお、温泉法には立入検査、報告徴収、許可の際の条件付与のほか罰則等の規定があり、罰則は第7章(第38条以下)に置かれています。違反は罰則の対象となり得るため、詳細は当該法令を必ず確認してください。

まとめ:実務者が押さえる温泉法のポイント

まとめると、温泉法は昭和23年法律第125号として制定された環境省所管の法律で、温泉の保護と可燃性天然ガスによる災害防止、利用の適正を図ることを目的としています。中心となるのは許可制で、温泉をゆう出させる目的で土地を掘削するには都道府県知事の許可が必要です(第3条)。申請者は掘削に必要な土地を使用する権利を有する者に限られ(第3条第2項)、第4条の不許可事由に該当しなければ原則許可されますが、公益上必要な条件が付される場合があります。

許可の有効期間は許可の日から2年で、やむを得ない理由があれば一回に限り2年を限度に更新できます(第5条)。工事完了・廃止時は遅滞なく知事へ届出が必要で(第8条)、ゆう出路の増掘や動力装置にも許可が要ります(第11条)。温泉をゆう出させる目的のない掘削は第3条の許可こそ不要ですが、温泉へ著しい影響が及ぶ場合は第14条の措置命令の対象となり得ます。

宅建業者として押さえるべきは、第35条第1項に基づく重要事項説明の枠組みと、第47条第1項の不告知・不実告知の禁止です。温泉法が施行令の列挙法令に当たるかを断定するより、掘削許可の有無や条件など取引判断に重要な事実を見落とさず、必要に応じて説明・調査を行う姿勢が安全です。説明の際は宅地建物取引士証の提示(第35条第4項)も忘れないようにしましょう。詳細な要件や罰則は、必ず一次資料となる当該法令・自治体の運用を確認してください。

出典: e-Gov法令検索 / 環境省 / 国土交通省 / 栃木県 / 広島県 / 千葉県

小野海士

この記事を書いた人

小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役

不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取(日本全国)や売却(関東・大阪・名古屋・福岡と、その他一部地域)のご相談を手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。

公開日 最終更新

不動産の売却・処分にお困りですか?

「再建築できない」「残置物が残っている」「他社に断られた」——そういう物件こそ、オッティモにご相談ください。片付けや解体をしてからでなくて大丈夫です。

無料で相談してみる LINEで相談する

相談・査定は無料買取は日本全国無理におすすめしません

株式会社オッティモが開発

不動産の仕事に、頼れる相棒。

売買の書類一式、“2〜3 日仕事”が半日に。
※現役宅建士の実務での目安です。物件により異なります。

  • 物件資料をアップロードするだけで、重説・販売図面の下書きまで
  • 媒介・売買契約書・精算・領収書・取引台帳まで、入力は 1 度
  • 物件確認は、URL から受け付ける
無料で始める → anken. を詳しく見る

料金は anken.app でご確認ください。

3分でわかる anken.