長期優良住宅を売る前に知る認定引継ぎの手続きと書類
長期優良住宅を売却する際、買主は認定計画実施者としての地位を引き継ぐ承認を申請できます。認定通知書や維持保全の記録を確認し、申請先・必要書類は計画を認定した行政庁へ事前に確かめましょう。
📑 目次
ミナお客様から「長期優良住宅の認定通知書がある家を売るとき、買った人へ何を渡せばいいですか」とご相談がありました。
タケさん結論から言うと、認定通知書は売主等から新しい所有者へ引き継ぐ書類だよ。新しい所有者が承認通知書を受け取るには、地位の承継、つまり認定に基づく立場を引き継ぐ手続きがいるんだ。
リク手順としては、認定通知書に書かれた所管行政庁、つまり計画を認定した行政庁へ、先に問い合わせる流れでよいですか。
タケさんそれで進めよう。第7号様式の承認申請書を出す手続きだから、まず認定通知書と、売買で引き継いだ事実を示す書類をそろえるところから始めるんだ。
長期優良住宅の認定がある家を売るとき
長期優良住宅の認定がある家を売るときは、認定通知書を引き継ぎ、買主が地位の承継の承認を申請する流れを押さえることが大切です。認定通知書とは、所管行政庁が認定したことを知らせる書類です。既存住宅の認定通知書は、売主等から引き継がれるもので、再発行はされません。
新しい所有者が承認通知書を得るには、地位の承継の手続きが必要です。地位の承継とは、認定に基づく立場を新しい所有者などが引き継ぐことです。相続や売買などで認定を受けた住宅を引き継ぐ人は、所管行政庁へ承認を申請できます。所管行政庁とは、その計画を認定した行政庁です。
承継をすると、維持保全計画の内容も引き継ぎます。維持保全とは、住宅を点検し、必要に応じて修繕や改良を行うことです。売却時には、通知書だけを渡して終えるのではなく、認定番号や維持保全に関する書類・記録も整理しておくと、買主が手続きを進めやすくなります。
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申請書に書くことと、そろえる書類
地位の承継を申請する書類は、「承認申請書(地位の承継)」です。第7号様式と呼ばれる書式で、正本と副本に、地位を引き継いだ事実を証する書類を添えて所管行政庁へ提出します。地位を引き継いだ事実を証する書類とは、家の所有者が変わったことを示す書類です。
第7号様式には、認定番号、認定年月日、認定に係る住宅の位置、申請時の認定計画実施者の氏名、地位承継が生じた原因を記載する欄があります。認定計画実施者とは、認定を受けた計画に沿って建築や維持保全を行う人です。申請書と添付書類に書いた内容が事実と違わないことも、申請者が示します。
添付書類の案内は、認定した所管行政庁によって違いがあります。大阪府は、承認申請書、地位承継の事実が確認できる書類、維持保全計画書を案内しています。地位承継の事実が確認できる書類の例には、登記事項証明書や売買契約書の写しがあります。登記事項証明書とは、法務局で取れる土地建物の登記内容を写した書類です。兵庫県や市川市の案内には、認定通知書の写しなどもあります。
引継ぎで扱う主な書類
| 書類 | 使う場面 | 書類から分かること |
|---|---|---|
| 認定通知書 | 売主等から引継ぎ | 認定を受けたこと |
| 承認申請書(地位の承継) | 承認を申請 | 認定番号・住宅の位置 |
| 承認通知書 | 承認後に受領 | 地位承継の承認 |
維持保全の記録も引き継ぐ理由
地位の承継が承認されると、新しい認定計画実施者は維持保全計画の内容を引き継いで、維持保全を行っていきます。維持保全の対象には、家を支える主要な部分、雨水の浸入を防ぐ部分、給水・排水設備があります。点検や調査を行い、必要に応じて修繕や改良を行う考え方です。
認定計画実施者は、建築と維持保全の状況に関する記録を作成し、保存します。地位の承継を受けたときは、承認を受けたこと、承認を受けた人の氏名、承継年月日、承認年月日も記録する事項です。維持保全を実施したときは、実施年月日と内容を残します。ほかの人へ委託した場合は、委託先の氏名または名称も記録します。
記録は紙だけに限られません。必要に応じて明確に紙へ表示できる状態なら、電子計算機のファイルなどに記録する方法も使えます。売主側では、手元にある点検や修繕の記録を認定通知書と分けずに整理しておくと、引継ぎ後の維持保全につながります。
よくある失敗は「認定通知書を再発行してもらう」考え方です
よくある失敗は、認定通知書が見当たらないときに、再発行を待てばよいと考えることです。既存住宅の認定通知書は再発行されず、売主等から引き継がれる書類です。この点を知らないと、売却の場面で通知書の所在を探すだけになり、買主が地位の承継を申請する準備が進みません。
まずは認定通知書の保管場所を探し、認定番号と計画を認定した所管行政庁を確認します。売買によって家の所有権、つまり家を所有する権利を取得した人は、所管行政庁の承認を受けて地位を承継できます。ただし、計画に記載された維持保全期間が経過した住宅は、承継の対象から除かれます。
なお、長期優良住宅の普及の促進に関する法律第18条第1項は、一定の要件で容積率敷地面積に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合の上限。建物の総ボリュームを制限する指標です。の特例を扱う規定です。容積率とは、敷地に対して建てられる建物の延べ面積の上限です。この規定は、宅地建物取引業法施行令第3条第1項第29号に列挙されています。重要事項説明宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。とは、契約前に書面で大切な制限を説明することです。第18条第1項の列挙から、全ての認定住宅で認定の事実や地位承継そのものが説明対象になるとは確認できません。
✅ 売却前に手元でそろえる確認項目
- 認定通知書を手元で見つけられるか
- 認定通知書の認定番号を読み取れるか
- 計画を認定した所管行政庁が分かるか
- 売買契約書の写しを用意できるか
- 維持保全計画書を保管しているか
- 点検や修繕の記録をまとめられるか
売却時は通知書の引継ぎから始めます
まとめると、長期優良住宅の認定がある家を売るときは、認定通知書を新しい所有者へ引き継ぎます。そのうえで、新しい所有者が所管行政庁へ地位の承継を申請し、承認後に承認通知書を受け取ります。認定通知書は再発行されないため、早めに所在と認定番号を確認しておくことが出発点です。
承認申請書には認定番号や住宅の位置などを記載します。売買契約書の写しや登記事項証明書など、地位を引き継いだ事実を示す書類も扱います。必要書類の案内には所管行政庁ごとの差があるため、認定通知書に記載された行政庁へ問い合わせて進めます。ご不明な点は、無料相談で個別にお答えしています。お気軽にご相談ください。
出典: 国土交通省 / 大阪府 / 兵庫県 / 自治体(city.ichikawa.lg.jp)
この記事で参照した法令(e-Gov法令検索): 宅地建物取引業法施行令
この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取(日本全国)や売却(関東・大阪・名古屋・福岡と、その他一部地域)のご相談を手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
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