内装制限とは?建築基準法第35条の2と特殊建築物のルールをやさしく解説
内装制限の根拠は建築基準法第35条の2。対象は「特定建築物」ではなく「特殊建築物」です。不燃材料は施行令第108条の2の20分間の基準で決まります。条文にあたって、対象になる建物と求められる仕上げを整理しました。
📑 目次
この記事で分かること
内装制限の根拠は建築基準法第35条の2であること、対象は「特定建築物」ではなく「特殊建築物」であること、不燃材料は20分間の基準で決まることを、条文にあたって解説します。
店舗を借りて内装をつくる。二世帯住宅を建てる。中古の建物を買って用途を変える——そんなときに関わってくるのが内装制限です。
火事が起きたとき、壁や天井が燃えて一気に燃え広がるのを防ぐため、建物の種類や規模によって、壁と天井の仕上げ材に制限がかかります。木の板を張りたい、クロスを選びたいと思っても、建物によっては使えない材料があります。
内装制限の根拠は建築基準法第35条の2です
別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物、階数が三以上である建築物、政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物、延べ面積が千平方メートルをこえる建築物又は建築物の調理室、浴室その他の室でかまど、こんろその他火を使用する設備若しくは器具を設けたものは、政令で定めるものを除き、政令で定める技術的基準に従つて、その壁及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。
条文から読み取れる対象は5つです。
- 別表第一(い)欄の用途に供する特殊建築物
- 階数が3以上の建築物
- 政令で定める窓のない居室を有する建築物
- 延べ面積が1,000㎡を超える建築物
- 火を使う設備を設けた室(調理室・浴室など)
制限がかかるのは壁と天井の、室内に面する部分の仕上げです。床は対象ではありません。
「特殊建築物」であって「特定建築物」ではありません
特殊建築物 学校(専修学校及び各種学校を含む。以下同様とする。)、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、共同住宅、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場その他これらに類する用途に供する建築物をいう。
条文が用途を並べて定義しています。「不特定多数が利用する建築物」といった抽象的な定義ではありません。
似た言葉に「特定建築物」がありますが、これは別の法律の用語です。バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)が使う言葉で、同法には71回登場します。内装制限の話をするときに「特定建築物」と書くと、別制度の話になってしまいます。
具体的な中身は施行令にあります
法第35条の2は「政令で定めるものを除き、政令で定める技術的基準に従つて」としています。その政令が次の3条です。
| 条 | 見出し | 役割 |
|---|---|---|
| 施行令 第128条の3の2 | 制限を受ける窓その他の開口部を有しない居室 | 法35条の2でいう「窓のない居室」の定義 |
| 施行令 第128条の4 | 制限を受けない特殊建築物等 | 対象から外れるものを定める |
| 施行令 第128条の5 | 特殊建築物等の内装 | 仕上げの具体的な基準(本体) |
内装制限の中身は第128条の5です。第128条の4は逆に「ここは対象外」を定める条で、規模や構造によっては制限がかからないことがあります。
なお、第128条の3の3、第128条の3の4という条は存在しません。施行令で第128条の3の2の次に来るのは第128条の4です。
不燃材料とは何か
内装制限で求められる材料のうち、もっとも性能が高いのが不燃材料です。
不燃材料 建築材料のうち、不燃性能(通常の火災時における火熱により燃焼しないことその他の政令で定める性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。
法第二条第九号の政令で定める性能及びその技術的基準は、建築材料に、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後二十分間次の各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあつては、第一号及び第二号)に掲げる要件を満たしていることとする。
一 燃焼しないものであること。
二 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。
三 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。
20分間、この3つを満たすものが不燃材料です。「燃えない」だけでなく、変形しないこと・有害な煙を出さないことまで求められている点が重要です。避難する時間を確保するための基準だからです。
不燃材料には、コンクリート、れんが、瓦、ガラス、モルタル、しっくいなどが該当します。個別の製品が該当するかは、国土交通大臣の認定を受けているかで決まります。
違反するとどうなるか
内装制限に適合しない場合、建築確認が下りません。既に建ててしまった場合は、建築基準法第9条(違反建築物に対する措置)に基づき、特定行政庁から是正命令を受けることがあります。
命令の対象になると、工事の停止や、除却・移転・改築・使用禁止などを命じられることがあります。中古建物を買ってから発覚すると、是正費用は買主の負担になりかねません。
買う前・借りる前に確認したいこと
内装制限は、重要事項説明宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。で必ず説明しなければならない法定項目ではありません(宅建業法第35条宅地建物取引業法で、契約の前に買主・借主へ重要事項を書面で説明する義務を定めた条文。重要事項説明書(重説)の根拠となる規定です。を受けた政令の列挙に、建築基準法第35条の2は含まれていません)。
ですが、建物の使い方を直接縛るルールです。次の場面では、契約前に確かめておくことをおすすめします。
- 店舗や飲食店を出す目的で借りる・買うとき(火を使う室は対象になります)
- 中古建物を買って用途を変えるとき(用途が変わると対象になることがあります)
- 内装を大きくつくり替える予定があるとき
確認先は、建物の所在地を管轄する特定行政庁(自治体の建築指導課など)です。設計図書や確認済証・検査済証が残っていれば、あわせて確認してください。
ご注意:本記事は一般的な解説です。個別の建物の取り扱いは、特定行政庁および建築士・専門家にご確認ください。
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この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取や売却のご相談を全国対応で手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
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