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建築基準法第35条とは?特定建築物の内装制限・不燃材料の規定を解説

重要事項説明書 解説シリーズ 👁️ 6 views
建築基準法第35条とは?特定建築物の内装制限・不燃材料の規定を解説

建築基準法第35条は特定建築物における内装制限を定める重要な条文です。居室の床・壁・天井の不燃材料使用や、避難経路の内装制限について詳しく解説し、重要事項説明での注意点もお伝えします。

📑 目次

建築基準法第35条は特定建築物における内装制限を定めた法律で、劇場や映画館、集会場などの多数の人が利用する建築物の火災安全を確保するため、内装材料に不燃性能を求める規定です。この記事では、対象建築物の種類、使用できる材料の基準、例外規定、そして不動産取引時の注意点まで詳しく解説します。

建築基準法第35条の基本概要

要するに建築基準法第35条は、火災時の人命安全を最優先に考えて制定された内装制限の規定です。多数の人が利用する建築物では、火災が発生した際に避難が困難になりやすいため、内装材料に厳しい防火性能を求めています。

第35条の条文内容と目的

建築基準法第35条は、特定の用途に供する建築物の内装について、政令で定める技術的基準に適合する不燃材料、準不燃材料または難燃材料を使用することを義務付けています。この規定の主な目的は次の通りです。

第35条の主要目的

  • 火災時の延焼拡大防止
  • 避難時間の確保
  • 有毒ガス発生の抑制
  • 救助活動時間の確保

特定建築物の定義

第35条でいう「特定建築物」とは、不特定多数の人が利用する建築物や避難が困難な建築物を指します。建築基準法施行令第128条の3の2で具体的に定められており、主に以下のような建築物が該当します。

建築物の種類 対象となる規模・条件 内装制限の範囲
劇場・映画館・演芸場 客席部分の床面積の合計が200平方メートル以上 客席部分および避難経路
観覧場(屋内運動場等) 客席部分の床面積の合計が400平方メートル以上 客席部分および避難経路
公会堂・集会場 集会室等の床面積の合計が200平方メートル以上 集会室および避難経路
キャバレー・料理店・飲食店 客席部分の床面積の合計が200平方メートル以上 客席部分および避難経路
百貨店・マーケット 売場の床面積の合計が1,500平方メートル以上 売場および避難経路

内装制限の法的位置づけ

内装制限は建築確認申請時の審査対象であり、完了検査でも確認される重要な法的要件です。既存建築物についても、増築や大規模修繕を行う際には現行法への適合が求められます。

違反した場合は建築基準法第9条に基づく是正命令や使用禁止命令の対象となり、刑事罰(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)が科される可能性もあります。


特定建築物における内装制限の詳細

結論から言うと、内装制限は建築物の用途と規模に応じて対象範囲が決まり、居室と避難経路の両方に適用されるのが基本パターンです。ただし、建築物の種類によって規制の厳しさや適用範囲が異なります。

対象となる建築物の種類

建築基準法施行令第128条の3の2では、内装制限の対象建築物を21の用途に分類しています。これらの建築物は火災リスクや避難の困難さに応じて分類されており、それぞれ異なる規制基準が設けられています。

特定建築物の分類と内装制限 高リスク建築物 劇場・映画館 キャバレー・ナイトクラブ 個室ビデオ店 カラオケボックス 床面積200㎡以上 中リスク建築物 百貨店・物品販売業 ホテル・旅館 病院・診療所 老人ホーム 床面積規模により規制 低リスク建築物 学校・図書館 事務所 共同住宅 特別養護老人ホーム 部分的な制限 内装制限の強度 最も厳格 不燃材料のみ 居室・避難経路 全面適用 中程度 準不燃材料以上 居室・避難経路 条件により緩和 部分的 難燃材料以上 避難経路中心 多くの例外規定

内装制限が適用される部分

内装制限は建築物のすべての内装に適用されるわけではありません。適用される部分は建築基準法施行令第128条の3の3で明確に定められており、主に以下の2つの区域に分けられます。

適用区域 具体的な部分 規制材料 適用面積
居室部分 客席、売場、集会室、宿泊室等 準不燃材料以上 壁・天井の室内に面する部分
避難経路 廊下、階段、ロビー、エレベーターホール 不燃材料 壁・天井の全面
避難階段 特別避難階段、屋外避難階段 不燃材料 壁・天井・床の全面
地下街 地下に設けられた店舗、通路 不燃材料 壁・天井・床の全面

特に重要なのは、避難経路では最も厳格な不燃材料の使用が義務付けられている点です。これは火災時に煙や熱による影響を最小限に抑え、安全な避難を確保するためです。


不燃材料・準不燃材料・難燃材料の基準

簡潔に述べると、建築基準法では防火性能に応じて材料を3段階に分類しており、それぞれ異なる加熱試験基準をクリアする必要があります。最も厳しい不燃材料から、準不燃材料、難燃材料の順に性能要件が緩和されます。

各材料の性能基準

各材料の性能基準は建築基準法第2条第9号から第11号で定められており、20分間、10分間、5分間の加熱試験でそれぞれの性能が確認されます。

材料区分 加熱試験時間 性能要件 主な使用材料例 適用箇所
不燃材料 20分間 燃焼せず、防火上有害な変形・溶融・き裂その他の損傷を生じない コンクリート、れんが、瓦、鉄鋼、アルミニウム、ガラス 避難経路の壁・天井
準不燃材料 10分間 燃焼せず、防火上有害な変形・溶融・き裂その他の損傷を生じない 石膏ボード、けい酸カルシウム板、不燃処理木材 居室の壁・天井
難燃材料 5分間 燃焼せず、防火上有害な変形・溶融・き裂その他の損傷を生じない 難燃合板、難燃繊維板、難燃プラスチック板 一般居室(制限緩和時)

認定材料と告示材料

防火材料には大臣認定材料と告示材料の2種類があります。告示材料は建築基準法施行令で性能が確認された汎用材料で、認定材料は個別に国土交通大臣の認定を受けた材料です。

材料選定時の確認事項

  • 認定書または告示番号の確認
  • 認定仕様と実際の施工仕様の一致確認
  • 有効期限内の認定であることの確認
  • 下地材との組み合わせ仕様の適合確認

施工時の注意事項

防火材料は認定または告示で定められた仕様通りに施工することが法的要件です。材料の種類だけでなく、厚さ、下地との組み合わせ、施工方法まで含めて性能が確認されているためです。

施工仕様違反の典型例
認定では12.5mm厚の石膏ボードと指定されているにも関わらず、9.5mm厚を使用した場合は性能基準を満たしません。また、認定仕様では両面貼りが条件となっている場合に片面のみの施工を行うことも違反となります。


内装制限の例外規定と緩和措置

結論として、内装制限には防火設備の設置による緩和措置が設けられており、特にスプリンクラー設備の設置により大幅な制限緩和が可能です。これにより設計の自由度を確保しながら、同等の安全性を実現できます。

スプリンクラー設備による緩和

建築基準法施行令第128条の3の4では、スプリンクラー設備を設置した場合の内装制限緩和を規定しています。これは初期消火による火災拡大防止効果を評価したものです。

建築物用途 通常の内装制限 スプリンクラー設置時 緩和範囲
劇場・映画館(客席) 準不燃材料以上 難燃材料以上 壁・天井とも1段階緩和
百貨店・物販店(売場) 準不燃材料以上 制限なし 内装制限適用除外
ホテル・旅館(宿泊室) 準不燃材料以上 難燃材料以上 壁・天井とも1段階緩和
避難経路(共通) 不燃材料 準不燃材料以上 1段階緩和

その他の例外条件

スプリンクラー設備以外にも、建築物の構造や用途に応じた例外規定が設けられています。これらは火災リスクが相対的に低い部分や、構造的に安全性が確保されている部分に適用されます。

主な例外規定

  • 準耐火建築物の住宅部分(共同住宅等)
  • 床面積100平方メートル以下の飲食店舗
  • 客席部分の床面積200平方メートル未満の集会場
  • 自動火災報知設備と排煙設備を設置した事務所
  • 特殊建築物の住宅用途部分

これらの例外規定は、建築物の用途や規模、防火設備の設置状況を総合的に勘案して適用されます。ただし、避難経路については例外規定の適用範囲が限定的であり、原則として厳格な基準が適用されます。

このような内装制限や防火規制でお困りの不動産をお持ちの方は、オッティモにお気軽にご相談ください。建築法規に詳しい専門スタッフが、適切なアドバイスをいたします。


重要事項説明での説明ポイント

不動産取引において、建築基準法第35条の内装制限は宅建業法第35条に基づく重要事項説明の対象となります。売主・買主双方にとって将来の利用制限や費用負担に直結する重要な情報のため、適切で分かりやすい説明が求められます。

買主への説明義務

重要事項説明では、対象物件が特定建築物に該当するか、該当する場合の具体的な制限内容を明確に説明する必要があります。特に以下の項目は必ず説明すべき重要ポイントです。

説明項目 説明内容 注意点 確認資料
対象建築物の該当性 用途・規模による第35条適用の有無 将来の用途変更制限も説明 建築確認済証、検査済証
内装制限の範囲 居室・避難経路別の材料基準 部分ごとの制限レベルを明示 建築図面、仕上表
現状の適合状況 既存内装の法適合性 違反がある場合は詳細説明 建築士による調査報告
将来の制約 リフォーム・改装時の制限 費用増加要因として説明 法令集、技術基準

違反時のリスクと対応

既存建築物で内装制限に違反している場合は、法的リスクと改修費用を具体的に説明する必要があります。違反の程度によっては売買価格に大きく影響するため、買主の判断材料として重要な情報です。

違反建築物の重大リスク
建築基準法違反の建築物は、行政から是正命令や使用禁止命令が出される可能性があります。また、火災保険の支払い対象外となるケースもあり、買主にとって予期しない損失リスクとなります。売主は違反の事実を隠すことなく、誠実に説明する義務があります。

リフォーム時の注意事項

内装制限はリフォーム・改修工事の内容と費用に大きく影響します。一般住宅用の材料が使用できない場合、材料費が2倍から3倍になることも珍しくありません。

リフォーム費用比較(内装制限あり/なし) 費用(万円) 500 400 300 200 100 0 壁クロス張替え (100㎡) 天井仕上げ (100㎡) 床仕上げ (100㎡) 内装制限なし 内装制限あり 100万 300万 200万 400万 300万 500万

リフォーム時の重要確認事項

  • 改修規模による建築確認申請の要否確認
  • 既存不適格部分の現行法適合義務範囲の確認
  • 防火材料認定品の入手可能性と納期確認
  • 施工業者の防火材料施工経験と技術力確認
  • 完了検査での材料証明書類の準備

建築基準法第35条はどのような建築物に適用されますか?

劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場、キャバレー、料理店、百貨店などの特定建築物に適用されます。これらは多数の人が利用するため、火災時の安全確保が特に重要とされています。適用される建築物は用途と規模(床面積)により決定され、例えば劇場・映画館では客席部分が200平方メートル以上、百貨店では売場が1,500平方メートル以上の場合に内装制限が適用されます。

内装制限に違反した場合はどうなりますか?

建築基準法違反となり、行政から是正命令や使用禁止命令が出される可能性があります。違反が確認された場合、改修工事を行うまで建築物の使用が制限されることがあります。また、不動産売買時には重要事項として買主への説明が義務付けられており、違反がある場合は売買価格に影響する可能性があります。さらに悪質な場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金という刑事罰が科される場合もあります。

既存建築物をリフォームする際の内装制限はありますか?

リフォームの規模により異なりますが、増築や大規模修繕を行う場合は現行法に適合させる必要があります。内装材料の変更を行う際も第35条の規定を確認し、対象建築物では適合材料を使用する必要があります。小規模な修繕であっても、防火材料以外への変更は避けるべきです。リフォーム費用は一般材料の2〜3倍程度になることが多いため、事前に詳細な調査と見積もりを取得することをお勧めします。不明な点は建築士や行政の建築指導課に相談することが重要です。


まとめ

建築基準法第35条の内装制限は、特定建築物における火災安全を確保するための重要な法的規制です。劇場、映画館、百貨店、ホテルなど多数の人が利用する建築物では、用途と規模に応じて不燃材料、準不燃材料、難燃材料の使用が義務付けられています。

特に重要なポイントは、居室部分と避難経路で異なる材料基準が設けられていることです。避難経路では最も厳格な不燃材料の使用が原則となっており、居室部分では準不燃材料以上の使用が求められます。ただし、スプリンクラー設備の設置により制限緩和が可能な場合もあります。

不動産取引においては、重要事項説明での適切な説明が法的義務となります。対象建築物の該当性、具体的な制限内容、現状の適合状況、将来のリフォーム制約について、買主が十分に理解できるよう説明する必要があります。特に違反がある場合は、是正命令のリスクや改修費用について詳細に説明することが重要です。

既存建築物のリフォーム時には、改修規模に応じた法適合義務を確認し、防火材料の使用により一般的な改修費用の2〜3倍の費用がかかることを想定した計画立案が必要です。材料選定では国土交通大臣認定品または告示材料を使用し、認定仕様通りの施工を行うことが法的要件となります。

建築基準法第35条は、建築物の安全性に直結する重要な規定のため、不明な点は建築士や行政の建築指導課への相談を強く推奨します。適切な法令遵守により、安全で価値の高い不動産の維持・活用が可能となります。

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✍️ 執筆者

株式会社オッティモ (宅地建物取引士)

不動産業界20年以上の経験を持つ専門家チーム

❓ よくある質問(FAQ)

Q 建築基準法第35条はどのような建築物に適用されますか?
A
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場などの特定建築物に適用されます。これらは多数の人が利用するため、火災時の安全確保が特に重要とされています。
Q 内装制限に違反した場合はどうなりますか?
A
建築基準法違反となり、是正命令や使用禁止命令が出される可能性があります。また、売買時には重要事項として説明が必要で、違反がある場合は買主に適切に説明する義務があります。
Q 既存建築物をリフォームする際の内装制限はありますか?
A
増築や大規模修繕を行う場合は現行法に適合させる必要があります。内装材料の変更時も第35条の規定を確認し、必要に応じて適合材料を使用する必要があります。