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浄化槽法の基礎|設置届出・維持管理義務と、重要事項説明での扱い

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浄化槽法の基礎|設置届出・維持管理義務と、重要事項説明での扱い

浄化槽法の要点を整理。重要事項説明では「法令に基づく制限」ではなく、排水施設の整備の状況の欄で浄化槽が出てきます。設置届出や保守点検・清掃・法定検査の義務、建築基準法に基づく構造基準など、確認したいポイントを解説します。

📑 目次

スタッフスタッフ社長、お客さんから『重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。の排水のところに浄化槽って書いてあるけど、浄化槽法って何ですか?』って聞かれて、うまく答えられなかったんです…。

スタッフスタッフ私も気になってました。下水道がない地域だと浄化槽の物件、けっこうありますよね。手続き的に何が要るのか、整理しておきたいです。

社長社長良い着眼点です。浄化槽法は昭和58年に公布されて、昭和60年10月1日に全面施行された法律です。設置の届出から日々の維持管理、検査まで、けっこう実務に直結する義務を定めています。

社長社長ひとつ先に押さえておくと、浄化槽法は、重要事項説明の「法令に基づく制限」(宅地建物取引業法第35条宅地建物取引業法で、契約の前に買主・借主へ重要事項を書面で説明する義務を定めた条文。重要事項説明書(重説)の根拠となる規定です。第1項第2号・同法施行令第3条第1項)に列挙された法律ではありません。浄化槽が出てくるのは、飲用水・電気・ガス・排水施設の整備の状況の欄です(同法第35条第1項第4号)。

スタッフスタッフそんなに古い法律なんですね。

社長社長そうです。しかも下位法令に浄化槽法施行令や環境省関係浄化槽法施行規則があって、令和7年3月にも省令改正が公布されています。今も動いている法律です。

浄化槽法とは何か

浄化槽法は昭和五十八年法律第四十三号として昭和58年(1983年)5月18日に公布され、昭和60年(1985年)10月1日に全面施行された法律です。施行のため、浄化槽法施行令(現行は平成13年政令第310号)や環境省関係浄化槽法施行規則(昭和59年厚生省令第17号)といった下位法令が定められています。

重要なのは、設置時の届出だけでなく、設置後の検査・保守点検・清掃といった維持管理まで義務として定めている点です。物件に浄化槽がある場合、買主・利用者にこれらの継続的な義務が生じるため、実務上の理解が欠かせません。

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スタッフスタッフまず設置の届出ですよね。これは誰が、どこに出すんですか?

社長社長浄化槽法第5条第1項です。浄化槽を設置したり、構造や規模を変更しようとする者は、都道府県知事、保健所設置市や特別区なら市長・区長に、知事経由で特定行政庁に届け出なければなりません。

スタッフスタッフ建物を建てるときって、建築確認も出しますよね。両方出すんですか?

社長社長良いところを突きますね。第5条第1項のただし書で、建築基準法第6条第1項の建築確認を申請すべきときなどは、浄化槽法による設置届出は不要になります。

スタッフスタッフなるほど、建築確認に乗ってくるケースがあるわけですね。届出を出したあとは何かありますか?

社長社長届出を受理した知事や特定行政庁は、必要があれば受理日から21日以内、型式認定を受けた浄化槽なら10日以内に、勧告や計画の変更・廃止命令を出せることになっています。

浄化槽の設置から使用開始までの主な手続きの流れ

浄化槽法第5条第1項に基づく設置等の届出(建築確認を要するときは原則ただし書で届出不要)
→
届出受理後、必要があれば知事・特定行政庁が受理日から21日以内(型式認定品は10日以内)に勧告・変更命令等
→
浄化槽工事は浄化槽法第6条の技術上の基準に従って施工
→
使用開始日から30日以内に、第10条の2に基づく報告書を都道府県知事へ提出
→
使用開始後3月を経過した日から5月間に、第7条の設置後等の水質検査を受検

検査・保守点検・清掃の義務

浄化槽の維持管理には、大きく分けて法定検査と保守点検・清掃があります。法定検査はさらに、設置直後の検査と毎年の定期検査に分かれます。

浄化槽法第7条第1項の検査(設置後等の水質検査)は、新たに設置や構造・規模変更をした浄化槽について、指定検査機関の検査を受けるもので、検査時期は環境省令で使用開始後3月を経過した日から5月間と定められています。一方、第11条第1項の定期検査は、毎年1回(環境省令で定める浄化槽は定める回数)、指定検査機関の検査を受ける義務です。7条検査では主に構造や施工が基準どおり適切に行われているか、11条検査では主に維持管理が基準どおり行われているかを確認します。これらの検査項目・方法は平成19年8月29日環境省告示第64号で定められています。

これとは別に、浄化槽法第10条第1項により、浄化槽管理者は毎年1回(環境省令で定める場合は定める回数)、保守点検及び清掃をしなければなりません。保守点検・清掃に係る技術上の基準は昭和59年厚生省令第17号で規定されています。なお、保守点検・清掃の記録は3年間保存する必要があります。

スタッフスタッフ保守点検って、管理者が自分でやらないといけないんですか?大変そうですけど…。

社長社長委託できます。保守点検業者の登録制度が条例である地域なら登録業者に、なければ浄化槽管理士に委託できます。清掃のほうは市町村長の許可を受けた浄化槽清掃業者に委託できます。

スタッフスタッフ大きい浄化槽だと、専門の人を置く義務もあると聞きました。

社長社長第10条第2項です。政令で定める規模の浄化槽では、技術上の業務を担当させる技術管理者を置かなければなりません。昭和60年政令第245号で、その規模は処理対象人員501人以上とされています。

スタッフスタッフ使う予定がない浄化槽でも、ずっと点検が要るんですか?

社長社長そこは救済があります。おおむね1年以上使う予定がない浄化槽は、清掃をして使用の休止を知事に届け出れば、保守点検・清掃・定期検査の義務が免除されます。

浄化槽の主な検査・維持管理義務の整理

項目根拠条文ポイント
設置後等の水質検査浄化槽法第7条第1項指定検査機関が実施。時期は使用開始後3月経過日から5月間
定期検査浄化槽法第11条第1項指定検査機関が毎年1回(省令で定める浄化槽は定める回数)
保守点検・清掃浄化槽法第10条第1項毎年1回(省令で定める場合は定める回数)。記録は3年間保存
技術管理者の設置浄化槽法第10条第2項処理対象人員501人以上の浄化槽で設置義務(政令第245号)
使用休止の届出第10条第1項ただし書・第11条の2おおむね1年以上不使用なら清掃のうえ届出で義務免除

建築基準法に基づく設置基準と構造基準

浄化槽の設置基準は建築基準法とも深く結びついています。建築基準法第31条第2項では、便所から排出する汚物を終末処理場を有する公共下水道以外に放流する場合、汚物処理性能に関し政令で定める技術的基準に適合し、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの、または国土交通大臣の認定を受けたし尿浄化槽を設けなければならないとされています。

浄化槽の構造方法は、建築基準法第31条第2項及び建築基準法施行令第35条第1項に基づき、昭和55年7月14日建設省告示第1292号で定められています。この告示に規定する構造方法以外の浄化槽は、建築基準法第68条の26の規定に基づき、国土交通大臣への構造方法等の認定申請が必要です。また、工場で製造される浄化槽の型式は、浄化槽法第13条第1項により国土交通大臣の認定を受けなければなりません。

水質の面では、放流水の技術上の基準として、環境省関係浄化槽法施行規則でBOD20mg/L以下及びBOD除去率90%以上とされています(平成18年2月1日施行の改正による)。これは、平成17年法律第47号により環境大臣が水質の技術上の基準を環境省令で定めることとされ、これを受けて国土交通省が告示第1292号を改正したものです。

スタッフスタッフ古い物件だと、汚水だけを処理する単独処理浄化槽って残ってますよね。今でも新設できるんですか?

社長社長いいえ、できません。平成12年の浄化槽法改正で単独処理浄化槽の新設は原則禁止になって、平成13年4月1日から原則合併処理浄化槽の設置が義務づけられました。

スタッフスタッフ既にある古い単独処理浄化槽は、何か対応が要るんですか?

社長社長令和元年法律第40号の改正で、知事に浄化槽台帳の作成・保管が義務づけられて、特定既存単独処理浄化槽への助言・指導・勧告・命令等の措置が設けられました。古い物件を扱うときは頭に入れておきたいですね。

スタッフスタッフ届出を怠ったらどうなるんでしょう?罰則とか…。

社長社長設置等の届出を怠ったり虚偽の届出をした場合などは、罰則の対象となり得ます。金額や年数の細かいところは当該法令を確認しておいてください。安易に断定してはいけません。

まとめ:実務者として押さえるべきポイント

まとめると、浄化槽法は昭和60年10月1日に全面施行された法律で、設置時の届出から、設置後の水質検査・定期検査、毎年の保守点検・清掃まで、継続的な義務を定めています。届出は浄化槽法第5条第1項によるもので、建築確認を申請すべきときなどはただし書により届出が不要になる点も押さえておきたいところです。

検査は、第7条の設置後等の水質検査(使用開始後3月経過日から5月間)と、第11条の毎年の定期検査があり、いずれも指定検査機関が実施します。これとは別に第10条第1項の保守点検・清掃があり、記録は3年間保存します。処理対象人員501人以上の浄化槽では技術管理者の設置義務があり、使用休止を届け出れば一定の義務が免除される仕組みもあります。

設置・構造の面では、建築基準法第31条第2項と昭和55年建設省告示第1292号が基準の柱で、放流水はBOD20mg/L以下・BOD除去率90%以上が技術上の基準とされています。平成13年4月1日以降は原則として合併処理浄化槽の設置が義務づけられ、令和元年改正で浄化槽台帳や特定既存単独処理浄化槽への措置も設けられました。届出を怠った場合などは罰則の対象となり得るため、古い物件や下水道未整備地域の取引では、これらの義務関係を丁寧に確認することが実務者の役割です。

出典: e-Gov法令検索 / 環境省 / 国土交通省 / 官公庁(ktr.mlit.go.jp) / 愛知県 / 自治体(city.yokkaichi.lg.jp) / 長野県

小野海士

この記事を書いた人

小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役

不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取(日本全国)や売却(関東・大阪・名古屋・福岡と、その他一部地域)のご相談を手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。

公開日 最終更新

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