ハザードマップの見方 家を売る・買う前の確認点
洪水・内水・高潮・津波・土砂災害の地図をどう読み、物件周辺のリスクを確かめるかを解説。浸水深や想定条件、地図の更新状況、自治体の最新情報と避難先を確認するポイントを整理します。
📑 目次
ミナお客様から「相続した家を売りたいのですが、地図に0.5mの色が付いていました」とご相談がありました。ハザードマップ、それはどういう意味ですか。
タケさん災害の危険を地図で示すものだよ。結論から言うと、色だけで売却を止める話ではない。何の災害の地図か、どの前提で作られた図かを順に見るんだ。
リク売却前に、市町村が出している地図を5種類そろえ、物件の位置を確認する段取りでよいですか。
地図の色だけで、売却の結論を急がないでください
相続した家の売却準備で地図を開き、敷地に色が付いていると不安になります。色が付いていても売れるかを、地図の色だけで決めないでください。まず見るべきなのは、洪水、内水、高潮、津波、土砂災害のどの地図なのかです。水害ハザードマップとは、浸水想定区域、つまり水が入ると予想される範囲などを基にした地図です。
次に、浸水の深さ、地図の前提、公表された時点を読みます。洪水の図には、想定最大規模、つまり想定し得る最大規模の降雨を前提にした表示と、計画規模の表示がある河川もあります。同じ色に見えても、見ている図の前提が違えば、受け取る意味も変わります。
売る前には、過去に浸水したか、浸水が1階の床より上だったか下だったか、建物の1階の床の高さを整理します。買う側へ地図を示す場面でも、浸水想定区域に入らないから水害リスクがない、と誤解させない配慮が必要です。最新の図は、市町村で確かめてください。
売れないと言われた物件でも、相談はできます。再建築不可・残置物あり・長年の放置もそのままでどうぞ。相談は無料です。
無料で相談してみる5種類の地図と、作成に関わる機関
| 災害の種類 | 市町村が作る地図 | 区域図・指定を作る側 |
|---|---|---|
| 洪水 | 洪水ハザードマップ | 国又は都道府県 |
| 内水 | 内水ハザードマップ | 市町村 |
| 高潮 | 高潮ハザードマップ | 国又は都道府県 |
| 津波 | 津波ハザードマップ | 国又は都道府県 |
| 土砂災害 | 土砂災害ハザードマップ | 区域指定は都道府県知事 |
浸水の深さは6段階で読み、図の前提も見ます
国土交通省の国土数値情報では、浸水深、つまり水がたまる深さの区分は6段階です。第1段階は0m以上0.5m未満です。第2段階は0.5m以上3.0m未満です。第3段階は3.0m以上5.0m未満です。第4段階は5.0m以上10.0m未満です。第5段階は10.0m以上20.0m未満です。第6段階は20.0m以上です。
0.5mは、国土交通省の資料では1階の床高に相当します。ここでいう床高とは、建物の1階の床の高さです。売却予定の建物では、地図上の深さだけでなく、実際の1階の床の高さも並べて見ます。
洪水の図では、想定最大規模と計画規模のどちらを見ているかも確認します。想定最大規模は、計画規模を上回る降雨です。また、図には指定又は公表時点の河道や洪水調節施設の整備状況を勘案した記載例があります。前提となる降雨を超える雨、支川の決壊、高潮、内水による氾濫を考慮しない場合もあります。地図の凡例と説明文まで読みます。
売る前・買う前に進める確認の順番
ミナお客様から「重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。で地図を見せるなら、避難所や色の意味も全部説明しなければいけませんか」とご相談がありました。重要事項説明、それはどういう意味ですか。
タケさん不動産の契約前に大事な点を伝える説明のことだよ。水害ハザードマップでは、市町村の図で物件のおおむねの位置を示すところまでが義務なんだ。地図の内容そのものを説明する義務まではない。
リクでは、避難所は位置を示すとよい、という扱いですね。土砂災害の区域も、売却前に市町村の地図と指定内容を確認しますか。
契約前の説明では、市町村の地図を使います
重要事項説明とは、不動産の契約前に大事な点を伝える説明です。水害ハザードマップに関する説明では、洪水、内水、高潮について、物件の位置を含む市町村の地図を提示し、物件のおおむねの位置を示します。使うのは、市町村が配布する印刷物や市町村ホームページに掲載されたものです。入手できる最新のものを使います。
地図に書かれた内容そのものを説明することまでは義務ではありません。避難所は、併せて位置を示すことが望ましいとされています。市町村へ照会し、対象地を含む地図が作成も配布もされていないと確認できたときは、その照会で調査義務を果たします。この場合は、提示する地図がないことを説明します。
土砂災害警戒区域土砂災害のおそれがある区域として都道府県が指定した区域(通称イエローゾーン)。重説では区域内かどうかの説明が必要です。とは、土砂災害のおそれがあるとして指定される区域です。土砂災害防止法第7条第1項に指定の規定があります。土砂災害特別警戒区域土砂災害で建物が損壊し住民に危険が及ぶおそれが特に高い区域(通称レッドゾーン)。開発や建築の構造に規制がかかります。とは、建物の損壊で生命や身体に著しい危害が生じるおそれがある区域です。同法第9条第1項に指定の規定があります。詳しい法令の説明は、[水防法の記事](/blog/suibouhou-shinsuisoutei-kenchikuseigen-kokuchigi/)と[土砂災害の記事](/blog/doshasaigai-boshiho-jusetsu-yellow-red-zone-kenchiku-seigen/)で確認してください。
地図とあわせて、雨の状況と保険も分けて見ます
火災保険には、水災、つまり水による損害を補償する商品があります。一方で、契約している保険が風水雪災などを補償する内容かどうかは、損害保険会社又は代理店へ問い合わせます。水災の料率、つまり保険料を決める割合の適用時期も、保険会社で確かめてください。金融庁は、水災リスクをより細かく保険料へ反映しようとする会社があるとしています。
国土交通省の「令和8年台風第6号による被害状況等について(第8報、2026年6月4日14時00分現在)」では、西日本及び東日本の太平洋側で3日までの総雨量が300mmを超え、三重県尾鷲で500mmを超える記録的な大雨となったとされています。災害情報の数値は速報で、今後変わる場合があります。
✅ 売却前に地図と聞き取りでそろえる確認項目
- 洪水・内水・高潮の市町村地図の確認
- 津波・土砂災害の市町村地図の確認
- 物件のおおむねの位置と凡例の照合
- 洪水図の想定最大規模・計画規模の確認
- 洪水図の指定又は公表時点の確認
- 過去の浸水と床より上か下かの確認
- 建物の1階の床の高さの確認
まとめ:5種類を分けて見て、事実をそろえます
まとめると、売却前・買う前には、洪水、内水、高潮、津波、土砂災害を分けて確認します。浸水の深さだけでなく、洪水図の前提と公表時点も読みます。売主側では、過去の浸水、床より上か下か、1階の床の高さを整理しておくと、地図を見ながら話を進めやすくなります。
重要事項説明では、市町村が公表する入手可能な最新の水害ハザードマップを使い、物件のおおむねの位置を示します。ここなら安全とは決めつけず、最新の図は自治体で確かめてください。ご不明な点は、無料相談で個別にお答えしています。お気軽にご相談ください。
出典: 国土交通省 / e-Gov法令検索 / 官公庁(nlftp.mlit.go.jp) / 官公庁(ktr.mlit.go.jp)
この記事で参照した法令(e-Gov法令検索): 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律
この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取や売却のご相談を全国対応で手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
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