不動産取得税の基本と住宅の軽減措置をやさしく整理
家や土地を取得すると課される不動産取得税は、評価額に原則4%(土地・住宅は3%)を掛けて算定します。新築住宅の課税標準1,200万円控除や宅地の1/2特例、中古住宅・住宅用土地の軽減、相続非課税や免税点、申告手続きまで実務目線で整理します。
📑 目次
スタッフ社長、お客さんから『家を買ったら不動産取得税の通知が来た、これ何ですか?』ってよく聞かれるんですけど、そもそも何の税金なんですか?
スタッフ現場でも、購入時には説明してたつもりでも、数ヶ月後に通知が届いて驚かれることが多いんですよね。
社長ええとこ突いてきたな。不動産取得税は、土地や家屋を購入したり、贈与を受けたり、家屋を建築したりして不動産を取得した人に課される税金や。取得した本人にかかる、これが基本やで。
スタッフなるほど、買った人にかかるんですね。
誰に・何に課されるのか
不動産取得税は、土地や家屋の購入・贈与・家屋の建築などで不動産を取得した方に対して課される都道府県税です。登記の有無、有償・無償の別、取得の理由(売買、贈与、交換、新築、増築、改築など)にかかわらず、不動産の所有権を取得した方に課税されます(地方税法第73条の2)。
ここでいう不動産とは土地及び家屋の総称で、家屋には住宅・店舗・工場・倉庫その他の建物が含まれます(地方税法第73条)。家屋を改築したことにより当該家屋の価格が増加した場合には、その改築をもって家屋の取得とみなして課税されます(同条の2第3項)。
一方で、相続による取得は形式的な所有権の移転として非課税となり(地方税法第73条の7)、国・地方公共団体等に対しても課することができません(地方税法第73条の3)。なお、2023(令和5)年度の税収は4,406億円でした。
スタッフ手続き的には税額ってどう決まるんですか? 購入価格に税率を掛けるイメージでいいんでしょうか。
社長そこがよく誤解されるとこや。課税標準になるのは原則として固定資産課税台帳に登録された固定資産税の評価額で、実際の購入価格や建築工事費やないんやで。
スタッフえっ、買った値段じゃないんですか!
社長そうや。その評価額に税率を掛ける。税率は本則4%やけど、いまは土地と住宅については軽減税率の3%が適用されとる。
税率の考え方(本則と軽減)
| 区分 | 税率 |
|---|---|
| 本則 | 4% |
| 土地・住宅(軽減税率) | 3% |
| 住宅の軽減税率の適用期限 | 令和9年3月31日 |
宅地等の課税標準の特例
土地のうち宅地及び宅地比準土地を取得した場合は、令和9年3月31日まで、当該土地の価格に1/2を乗じた額を課税標準とします(地方税法附則第11条の5第1項)。
この特例は、更地や駐車場、商業用ビルの敷地等、住宅が建っていない土地であっても、固定資産評価上『宅地』と評価された土地であれば受けられます。住宅が建っているかどうかとは別の特例である点に注意が必要です。
スタッフ住宅そのものにも軽減ってあるんですか? 一般のお客さんはここで詰まりますよね。
社長あるで。住宅を新築した場合は課税標準から1,200万円を控除する特例がある。中古住宅を取得した場合も、新築時における控除額と同額を控除する仕組みや。
スタッフなるほど。ただ、どんな住宅でも控除できるわけじゃないですよね?
社長せやな。新築の控除には床面積の要件がある。50平米(一戸建て以外の貸家は40平米)以上240平米以下や。中古は時期に応じた耐震基準の要件もあるから、そこは丁寧に確認せなあかん。
スタッフ床面積で線引きがあるんですね。
住宅・住宅用地の軽減のポイント
| 対象 | 内容 |
|---|---|
| 新築住宅 | 課税標準から1,200万円を控除 |
| 中古住宅 | 新築時における控除額と同額を控除(耐震基準等の要件あり) |
| 新築の床面積要件 | 50平米(貸家共同住宅等は40平米)以上240平米以下 |
| 新築の認定長期優良住宅(東京都の例) | 控除額が1,300万円 |
| 住宅用土地 | 45,000円か、土地1平米当たりの価格×住宅床面積の2倍(1戸200平米上限)×税率の、高い方を税額から軽減 |
住宅用土地の軽減と認定長期優良住宅
住宅用の土地を取得した場合は、(1)45,000円か、(2)土地1平米当たりの価格×住宅の床面積の2倍(1戸当たり200平米を上限)×税率、のいずれか高い方の額を土地の税額から軽減します。減額算定に係る床面積を住宅床面積の2倍(1戸当たり200平米上限)とする点は地方税法第73条の24に基づくものです。
住宅の質に応じた上乗せもあります。新築の認定長期優良住宅を取得した場合、課税標準からの控除額は一般住宅の1,200万円に対し1,300万円となります(東京都の例)。この認定長期優良住宅に関する特例の適用期限は、令和8年度税制改正で5年間延長され、令和13年3月31日まで(延長後の適用期間は令和8年4月1日~令和13年3月31日)とされています。
スタッフ申告と納付の流れはどうなりますか? お客さんに『いつ・何をすれば』を説明したいんです。
社長自治体で取扱いが違うから一概には言えへんが、東京都の例なら取得した日から30日以内に都税事務所等へ申告する。ただ30日以内に登記を申請しとけば、原則として申告は不要になるんや。
スタッフじゃあ税金はどうやって払うんですか?
社長納め方は賦課課税や。都税事務所・支庁から送られてくる納税通知書で、記載された納期限までに納める。富山県の例やと、土地や中古家屋は概ね5~6ヶ月後、新築や増築の家屋は翌年7月以降に通知が届くんやで。
スタッフだから取得から少し経って通知が来て、お客さんが驚くんですね。
社長そういうことや。あと軽減措置は申告手続きで適用されるから、必要書類を揃えて期限までに申告するのが肝心やで。
申告・納付の流れ(東京都の例)
免税点と按分の注意点
課税の有無では免税点制度も押さえておきましょう。課税標準となるべき額が、土地は10万円未満、新築・増築・改築による家屋は1戸につき23万円未満、売買・贈与等による家屋は1戸につき12万円未満の場合は課税されません。なお、土地を取得した方がその土地を取得した日から1年以内に隣接する土地を取得した場合等は、前後の取得をあわせて一つの取得とみなして免税点を判断します。
併用住宅(店舗兼住宅等)を取得した場合は、家屋の価格を住宅部分と非住宅部分の床面積の割合で按分し、住宅部分には3%、非住宅部分には4%を乗じます(東京都の例)。実務では住宅部分の床面積要件や中古住宅の耐震基準要件の確認が欠かせません。
まとめ:実務者が押さえるべき要点
まとめると、不動産取得税は売買・贈与・新築・増築・改築などで不動産を取得した方に課される都道府県税で、相続による取得や国・地方公共団体等への課税は非課税です。課税標準は原則として固定資産税の評価額であり、購入価格ではない点が顧客説明の最初のつまずきどころです。
税率は本則4%、土地・住宅は軽減税率3%(住宅の適用期限は令和9年3月31日)。宅地等は令和9年3月31日まで価格の1/2を課税標準とする特例があり、住宅は新築で1,200万円控除(床面積50平米〜240平米等の要件)、中古は新築時と同額控除、認定長期優良住宅(東京都の例)は1,300万円控除といった軽減が用意されています。住宅用土地も別途、税額から一定額を軽減できます。
実務者として押さえるべきは、軽減は申告手続きで適用されること、申告期限や通知時期は各都道府県の条例で取扱いが異なること、そして免税点や併用住宅の按分まで含めて顧客に『いつ・何を』伝えるかです。具体的な控除額の刻みや最新の適用期限は、必ず取得地の都道府県の窓口・当該法令で確認したうえで案内しましょう。
出典: 総務省 / 東京都主税局 / 国土交通省 / e-Gov法令検索 / 富山県 / 大阪府 / 福岡県 / 北海道 / 静岡県