道路法とは?道路区域・道路予定地の建築制限と許可を解説|重説シリーズ㉘
道路法上の道路の種類、道路区域の決定・供用開始の確認方法を整理。道路区域内で土地権原取得前に必要となる行為許可と、道路予定区域に準用される占用許可の違い、重説調査の要点を解説します。
📑 目次
ミナさん売却相談の対象地について、道路にかかっているかもしれないと言われました。重要事項説明書宅建業者が契約前に、物件や取引条件の重要な事項を宅地建物取引士が書面で説明すること。買主・借主が不利益を受けないための手続きです。では、何を確認すればよいのでしょうか。
リク道路台帳図を見れば足りると思っていましたが、道路区域の線と土地の境界は同じではないのですね。
タケさんここで止まっちゃう人は多いんだよ。まず道路法上の道路区域か、道路予定区域に関わる段階かを、公示図面などで確認するのが大事なんだ。
道路法とは何か。重要事項説明書で確認する理由
道路法は、昭和27年法律第180号として公布された法律です。同法にいう道路は、一般交通の用に供する道で、道路の種類には高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道があります。トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等の施設・工作物や道路の附属物も含まれます。
宅地建物取引業法第35条宅地建物取引業法で、契約の前に買主・借主へ重要事項を書面で説明する義務を定めた条文。重要事項説明書(重説)の根拠となる規定です。第1項第2号では、宅地または建物に適用される法令上の制限で政令で定めるものの事項の概要を、契約成立までに説明することとされています。道路法は、この重要事項説明書(重説)で扱う法令に基づく制限として掲げられています。
したがって、対象地に道路法上の制限が適用される場合は、対象範囲と制限内容を確認し、その概要を説明できるように整理します。
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道路区域と道路予定区域を混同しない
道路法第18条第1項では、道路管理者は路線の指定、認定または変更の公示があった場合、遅滞なく道路の区域を決定します。区域を変更した場合を含めて公示し、区域を表示した図面を道路管理者の事務所で一般の縦覧に供します。
道路法第18条第2項では、道路の供用を開始または廃止しようとするときにも、公示と図面の縦覧が求められます。道路区域の決定・変更と、供用開始・廃止は、いずれも公示図面を確認する場面があります。
道路法第91条第1項は、道路区域の決定後から供用開始までで、道路管理者が区域内土地に関する権原を取得する前の行為を扱います。一方、第91条第2項では、道路管理者が土地に関する権原を取得した後の当該区域または道路の附属物となるべきものを「道路予定区域」としています。
実務では「道路予定地」という表現が使われることがありますが、それが道路区域の決定後・供用開始前の区域全体を指すのか、道路法第91条第2項の道路予定区域を指すのかは、個別の公示・説明資料の用語を確認します。
リク道路区域の決定後で、まだ道路管理者が土地に関する権原を取得していない段階なら、工作物の工事にも確認が必要になるのですね。
タケさんその可能性はあるんだよ。道路法第91条第1項では、土地の形質変更や工作物の新築、改築、増築、大修繕などに、道路管理者の許可が必要なんだ。
ミナさん道路占用許可と同じ許可だと思っていましたが、対象になる場面が違うのですか。
タケさんうん。道路占用許可は、道路上に工作物・物件・施設を設けて継続使用する場面の仕組みなんだよ。まず、どの法的段階の行為かを分けて確認して。
行為許可と道路占用許可の整理
| 確認する区分 | 対象となる場面 | 道路管理者への確認 |
|---|---|---|
| 道路法第91条第1項の行為許可 | 道路区域の決定後から供用開始までで、道路管理者が土地に関する権原を取得する前の形質変更等 | 土地の形質変更、工作物の新築・改築・増築・大修繕、物件の付加増置 |
| 道路法第32条の道路占用許可 | 道路上に工作物・物件・施設を設けて継続使用しようとする場面 | 電柱・電線、水管・下水道管・ガス管等の設置・継続使用 |
| 道路予定区域 | 道路法第91条第2項の道路予定区域 | 道路法第3章第3節が準用され、継続的な道路使用には道路占用許可の仕組みが準用 |
対象地を確認して重要事項説明書へ整理する実務手順
1. 対象地の所在地、関係する路線名、道路管理者を整理します。道路管理者は、道路区域の決定・供用開始の公示、道路占用許可、第91条第1項の行為許可の権者となります。
2. 道路管理者の事務所で縦覧に供される、第18条に基づく道路区域決定・変更の図面と、供用開始・廃止の図面を確認します。対象地が道路区域に含まれるかは、これらの法定資料で確認します。
3. 道路台帳も確認します。道路台帳は路線ごとに調製・保管され、道路区域の境界線、道路施設、占用物件、沿道状況等の管理上の基礎的事項を把握する資料です。
4. 図面上で対象地と区域線の位置関係を読み、対象地のどの範囲に関係するかを確認します。ただし、道路台帳図の幅員は現況と差異があり得て、道路幅員は土地境界を示すものではありません。筆界・地番表示も地権者間の権利関係を表すものではありません。
5. 道路区域の決定後・供用開始前であれば、道路管理者の土地に関する権原取得の前後を確認します。そのうえで、形質変更等の行為許可か、継続使用に関する道路占用許可かを道路管理者へ確認します。
6. 重要事項説明書には、対象地に適用される道路法上の制限の事項の概要を整理します。確認できた対象範囲、制限内容、許可権者、許可に付され得る条件を、根拠資料と対応させて説明します。
ミナさん図面に道路らしい線があるだけで、対象地の一部が道路区域だと説明してしまうのは早いのですね。
タケさん早いんだよ。道路台帳図だけでは、民民境界や所有権境界を確定する資料にはならないんだ。区域への該当は、第18条の公示図面などを確認して判断するんだよ。
リクそれなら、図面を確認したうえで、道路管理者へ許可の要否と条件を照会する流れにすればよいのですね。
タケさんその順序が安全なんだよ。許可の審査基準、添付書類、処理期間、個別の条件は道路管理者や管理道路の種別で異なり得るから、所管の窓口で確認して。
よくある失敗は、道路台帳図だけで結論を出すこと
よくある失敗は、道路台帳図の幅員や地番表示だけを見て、対象地が道路区域に含まれる、または土地境界が確定していると扱ってしまうことです。道路台帳は管理上の基礎的事項を把握する資料ですが、公開資料では台帳上の幅員と現況に差異があり得ること、道路幅員は土地境界を示すものではないことが明示されています。
この失敗が起きるのは、道路台帳図が対象地との位置関係を検討する出発点として有用であるためです。しかし、道路区域への該当性を確認する法定資料は、第18条に基づき公示され、道路管理者の事務所で縦覧に供される図面です。台帳と公示図面の役割を分けて扱います。
また、道路法第87条により、国土交通大臣および道路管理者は、道路法に基づく許可・認可・承認に、道路構造の保全、交通危険の防止その他円滑な交通の確保のため必要な条件を付すことができます。許可の要否だけでなく、条件の確認先も道路管理者であることを意識します。
説明時に押さえる整理の軸
重要事項説明書では、対象地に適用される法令上の制限に関する事項の概要を説明します。道路法の確認では、対象地が道路区域または道路予定区域に関係するか、どの段階の制限か、どの行為に許可が関係するかを分けて整理します。
道路区域の決定・変更、供用開始・廃止は道路管理者が公示し、図面を縦覧に供します。道路法第91条第1項の行為許可と、道路法第32条の道路占用許可は対象となる法的段階が異なるため、許可名だけで説明せず、対象となる行為と段階を対応させます。
個別の対象地が区域に含まれるか、区域線がどの部分に及ぶかは、所在地、路線名、道路管理者と公示図面・道路台帳等を確認しなければ判断できません。確認できていない内容を断定せず、道路管理者への確認結果に基づいて整理します。
✅ 重要事項説明書の作成前に確認するチェックリスト
- 対象地の所在地と関係する路線名の整理
- 対象道路を管理する道路管理者の確認
- 第18条の道路区域決定・変更図面の確認
- 供用開始・廃止に関する公示図面の確認
- 対象地と区域線の位置関係の確認
- 道路台帳図を土地境界の確定資料にしていないか
- 形質変更等と継続使用を区別した許可確認
- 確認した制限内容と許可権者の説明整理
道路法上の制限は、資料と段階を分けて確認する
まとめると、道路区域は道路管理者による決定・変更の公示と図面で確認し、供用開始・廃止も公示図面で確認します。道路台帳は位置関係や管理上の基礎的事項を把握する資料として活用しつつ、土地境界や権利関係の確定資料として扱わないことが重要です。
実務者として押さえるべきは、道路法第91条第1項の行為許可と、道路法第32条の道路占用許可を混同しないことです。対象地の段階、行為の内容、道路管理者への確認結果をそろえ、重要事項説明書には適用される制限の概要を整理します。ご不明な点は、無料相談で個別にお答えしています。お気軽にご相談ください。
出典: e-Gov法令検索 / 自治体(kensetsu.metro.tokyo.lg.jp) / 自治体(city.tsuyama.lg.jp) / 滋賀県 / 三重県 / 自治体(town.tohoku.lg.jp) / 官公庁(cbr.mlit.go.jp) / 自治体(city.ogaki.lg.jp) / 埼玉県
この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取や売却のご相談を全国対応で手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
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