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生産緑地法とは?2022年問題と都市農地のルールを徹底解説|重説シリーズ⑤

重要事項説明書 解説シリーズ 👁️ 58 views
生産緑地法とは?2022年問題と都市農地のルールを徹底解説|重説シリーズ⑤

生産緑地法の2022年問題とは?生産緑地地区の指定要件、特定生産緑地制度、買取申出制度について初心者向けに解説。30年経過後の選択肢、行為制限、重要事項説明のチェックポイントまで網羅した完全ガイド。

📑 目次

生産緑地法とは?2022年問題と都市農地のルールを徹底解説|重説シリーズ⑤

都市部にある農地って、なぜ宅地と同じように扱われないのだろう?
「2022年問題」って聞いたけど、生産緑地の何が変わったの?
生産緑地にある土地を買いたいけど、何に注意すれば良い?

この法律は、市街化区域内の農地を計画的に保全し、良好な都市環境を守ることを目的としています。特に税制優遇と引き換えに課される厳しい建築制限と、その期限を巡る特定生産緑地制度は、不動産取引において極めて重要です。この記事では、生産緑地法の基本から、不動産取引における注意点までを解説します。


🌱 法律の目的と役割:都市の緑を守る制度

生産緑地法は、急激な都市化の中で、都市部に残された貴重な農地を「都市の緑」として計画的に保全するために制定された法律です。その役割は、都市環境の維持と災害防止に大きく貢献しています。

制定年と背景

生産緑地法は、昭和49年(1974年)に最初に施行されました。

1968年の都市計画法改正により、都市を計画的に発展させるため、「市街化区域(積極的に市街化を推進する区域)」と「市街化調整区域(市街化を抑制する区域)」という線引きが導入されました。しかし、市街化区域内に含まれた農地が宅地化の波に飲まれ、無秩序な開発が進んだ結果、住環境の悪化や洪水などの自然災害が多発しました。

この問題を背景に、市街化区域内の農地を「宅地化するもの」と「保全するもの」に明確に区分し、後者を生産緑地地区として指定し、計画的な保全を図るために本法律が制定されました。

図解:生産緑地が持つ都市における多面的な役割

(図解:生産緑地が持つ都市における多面的な役割)

生産緑地法の主な目的

  • 良好な都市環境の形成: 都市の無秩序な拡大を防ぎ、緑地を保全することで、良好な生活環境を確保します。
  • 公共施設用地の確保: 将来的な都市計画において、公園や緑地などの公共施設用地(=公共施設等)として利用する可能性を残します。
  • 農林漁業との調和: 都市農業の持つ多面的な機能(食料供給、防災、コミュニティ形成など)を維持します。

🌳 生産緑地地区とは?(指定要件と行為制限)

生産緑地法を理解する上で最も重要なのが、この「生産緑地地区」という指定そのものです。指定されると、土地の所有者には大きなメリット(税制優遇)と、それ以上に重いデメリット(行為制限)が発生します。

1. 指定される場所と条件

すべての農地が対象ではなく、以下の条件を満たす農地等が都市計画によって指定されます。

  • 対象区域: 市街化区域内にある農地・採草放牧地・森林などであること。
  • 規模: 一団の農地で500m²以上の規模であること(ただし、市町村の条例で300m²まで引き下げることが可能)。
  • 効用: 良好な生活環境の確保に役立ち、公園や緑地などの公共施設等の敷地として適していること。

2. 厳格な「行為制限」(法第8条1項)

生産緑地地区に指定されると、その土地は「農地として維持する」ことが義務付けられます。そのため、宅地にするような行為は厳しく制限されます。

地区内において、以下の行為を行う場合は、原則として**市町村長の許可**が必要となります。

⚠️ 原則禁止!許可が必要な行為(法第8条1項)

  • 建築物や工作物(ビニールハウス等も含む)の新築、改築、増築
  • 宅地造成や土地の開墾、その他すべての「土地の形質の変更」

事実上、「農業を営むこと」以外は何もできない、と理解するのが早いでしょう。

許可される例外(農業のための施設)

とはいえ、農業を営むために必要な施設まで禁止されては本末転倒です。そのため、以下のような「農業の利便性を高める施設」で、生活環境の悪化をもたらさないものに限り、許可を得て設置することができます。

  • 農業用(畜産業用)の倉庫、作業所、ビニールハウス
  • 農産物の処理・貯蔵・加工に必要な施設
  • 農産物の直売所、農家レストラン(市町村が条例で認めた場合)

逆に言えば、一般的な住宅、アパート、マンション、駐車場、資材置場などは一切建築できないのです。これが生産緑地法の最も厳しい制限です。


⏳ 30年ルールの「買取り申出制度」とは?

「30年間も建築もできず、農地として縛られるのは厳しすぎる」という所有者への配慮として、「指定から30年が経過」するか、「農業ができなくなった」場合には、市町村に対してその土地を買い取るよう申出できる制度が設けられています。これが**買取り申出制度**です。

1. 申出ができる3つのタイミング

所有者は、以下のいずれかの時点に達した時、市町村長に対して「この土地を時価で買い取ってください」と申出をすることができます。

  1. 都市計画の告示の日(=指定された日)から30年が経過したとき。
  2. その農地の主たる農業従事者(=主に農業を担う人)が死亡したとき。
  3. その農地の主たる農業従事者が農業を続けることが困難となる故障(=病気やケガで働けなくなった状態)を抱えたとき。

2. 買取り申出後の流れ(制限解除への道)

申出があれば即座に制限が解除されるわけではありません。市町村はまず、その土地を公的な緑地として買い取るか、他の農業希望者に引き継がせる(あっせんする)努力をしなければなりません。

図解:買取り申出から制限解除までのフローチャート

(図解:買取り申出から制限解除までのフローチャート)

  1. 1. 所有者が市町村に「買取り申出」を行います。
  2. 2. 市町村は、申出があった日から1ヶ月以内に「買い取る」か「買い取らない」かを所有者に通知します。
  3. 3. 【市町村が買い取る場合】
    所有者と市町村の間で時価による売買交渉が成立すれば、土地は市町村(公園用地など)のものとなります。
  4. 4. 【市町村が買い取らない場合】
    市町村は、他の農業希望者(農協や農業法人など)に「この土地を買いませんか?」とあっせん(紹介)を試みます。
  5. 5. 【あっせんが不成立の場合】
    申出から3ヶ月以内にあっせんが成立しなかった(誰も買わなかった)場合、ついに生産緑地としての行為制限が解除されます。

制限が解除された土地は、晴れて通常の市街化区域内の土地となり、農地転用や宅地開発、住宅の建築が可能となります。

⚠️ 実務上の注意点

実際には、財政的な理由から市町村が自ら買い取るケースは稀です。また、都市部で新たに農業を始めたいという希望者も少ないため、あっせんが不成立となり、最終的に「制限解除」に至るケースがほとんどです。


💥 「2022年問題」と「特定生産緑地制度」

この「30年ルール」が、2022年に日本中で大きな問題として浮上しました。これが「2022年問題」です。

1. なぜ「2022年問題」と呼ばれたのか?

現在の生産緑地制度は、バブル期の地価高騰を背景にした平成3年(1991年)の法改正で確立されました。この時、全国の市街化区域内農地の多くが、平成4年(1992年)に一斉に「生産緑地」の指定を受けました。

その指定から30年が経過するのが、**2022年**でした。

つまり、2022年になると、全国の生産緑地の所有者が一斉に「買取り申出」の権利を得ることになりました。もし所有者の多くが申出を行い、買い手が見つからず「制限解除」が多発すれば、都市部の農地が一気に宅地として不動産市場に放出され、地価の暴落や住環境の悪化を招くのではないか、と懸念されました。これが「2022年問題」です。

2. 運命の分岐点:「特定生産緑地」への指定

この問題を回避し、引き続き農業を続けたいと願う所有者のために、国は新たな選択肢を用意しました。それが「特定生産緑地制度」(2018年施行)です。

これは、30年の期限が到来する**前**に、所有者が「まだ農業を続けます」と申出をすれば、市町村が「特定生産緑地」として指定し、買取り申出の期限を10年間延長(先送り)できる制度です。

この「特定生産緑地」の指定は、延長された10年の期限が切れる前であれば、**何度でも10年ずつ再延長が可能**です。

図解:30年経過時の「特定生産緑地」指定の選択

(図解:30年経過時の「特定生産緑地」指定の選択)


📊 比較表:「特定生産緑地」に指定した場合 vs しなかった場合

30年の期限を迎えるにあたり、所有者が「特定生産緑地」に指定した場合と、しなかった場合では、税制や権利に大きな違いが生じます。

項目 特定生産緑地に指定した場合
(=農業を継続)
特定生産緑地に指定しなかった場合
(=宅地化を視野)
買取り申出時期 30年経過後、さらに10年延長
(その後10年ごとに再延長可能)
30年経過後、いつでも買取り申出が可能
固定資産税 引き続き農地課税(税額が安いまま) 段階的に宅地並み課税に移行
(税額が大幅にアップ)
相続税 納税猶予の特例措置が継続適用されます 次の相続では納税猶予の適用を受けられません
行為制限 営農義務、建築等の制限が10年間継続(現状維持) 買取り申出が不成立になれば制限解除(宅地化OK)
(申出しない限り制限は継続)

簡単に言えば、「特定生産緑地」に指定すると、税金は安いままだが、さらに10年間は宅地化できません。指定しないと、税金は一気に高くなりますが、いつでも買取り申出(=宅地化への手続き)を開始できる、ということです。


✅ 重要事項説明での扱いとチェックポイント

不動産取引の重要事項説明(重説)において、取引対象の土地が生産緑地地区内にある場合は、その旨を明確に説明しなければなりません。

1. 重説で説明される項目

宅地建物取引業法に基づき、生産緑地法に関連して説明すべき事項は以下のとおりです。

  • 法律名: 生産緑地法(法第8条1項)
  • 地区の指定: 当該土地が生産緑地地区に指定されている旨。
  • 行為制限: 建築物等の新築、改築、増築、土地の形質の変更などが市町村長の許可を受けなければならないこと。
  • 特定生産緑地: 特定生産緑地に指定されている場合はその旨と、10年延長されている事実。

2. 買主・仲介業者のチェックポイント

生産緑地地区内の土地を取引する際は、その土地の「今」の状態を正確に把握することが極めて重要です。

生産緑地 取引チェックポイント

  • ① 行為制限の確認:
    「宅地として利用できない」という最大の制限を買主が理解しているか確認します。建築可能なのは「農林漁業用の施設」に限定されることを明確に伝えます。
  • ② 期限の確認:
    「いつ指定された土地か?」を都市計画図等で確認します。30年の期限がいつ到来するのか、あるいは既に到来しているのかを把握します。
  • ③ 「特定生産緑地」の指定状況:
    30年の期限が到来(または間近)の土地の場合、「特定生産緑地」の指定を受けているか否かが最重要です。指定されていれば、さらに10年間は宅地化できません。
  • ④ 税制上のリスク確認:
    「特定生産緑地」に指定されていない土地は、固定資産税が宅地並み課税に移行している(または移行する)リスクがあることを明示します。
  • ⑤ 制限解除のステータス:
    もし「買取り申出を経て制限解除された土地」であれば、その経緯を説明し、現在は宅地として利用可能であることを明確にします。

❓ FAQ(よくある質問と回答)

Q1: 生産緑地の土地は、指定期間中、アパートや自宅を建てることはできますか?

A1: 原則としてできません。 生産緑地地区内の行為制限は非常に厳しく、建築物の新築、改築、増築、土地の形質の変更は、市町村長の許可(法第8条1項)が必要です。許可の対象となるのは、農業を営むために必要な温室、畜舎、農産物直売所などの施設に限定されています。居住用の住宅や一般的な賃貸アパートを建てることは、買取り申出の時期が到来し、生産緑地としての制限が解除されない限り、認められません。

Q2: 生産緑地の「2022年問題」とは、結局どうなったのですか?

A2: 懸念されたほどの「宅地化ドミノ」は起きませんでした。多くの自治体で、期限を迎える農地の所有者に意向確認が行われ、大半の所有者が「農業を継続する」として「特定生産緑地」の指定を選択したためです。これにより、多くの農地がさらに10年間(2032年まで)保全されることになりました。

Q3: 特定生産緑地に指定されている土地と、指定されていない土地の大きな違いは何ですか?

A3: 30年の期限が到来した生産緑地において、最も大きな違いは税制面売却の自由度です。特定生産緑地に指定されている場合は、固定資産税が引き続き農地並み課税となり、相続税の納税猶予も継続されますが、10年間は宅地化できません。一方、指定されていない場合は、固定資産税が宅地並み課税に移行し税負担が急増しますが、所有者はいつでも市町村に買取り申出(=宅地化への手続き)を開始できます。

Q4: 生産緑地を農地として借りることはできますか?

A4: 可能です。 以前は相続税の納税猶予との関係で他人に貸しにくい側面がありましたが、2018年(平成30年)に施行された「都市農地の貸借の円滑化に関する法律(都市農地賃借法)」により、納税猶予を継続したまま、NPOや企業なども含めた多様な担い手に農地を貸しやすくする仕組みが整えられています。

Q5: 相続で生産緑地を取得しました。農業ができない場合、どうすればよいですか?

A5: 主たる農業従事者の死亡により相続した場合、農業を継続できないのであれば、市町村に「買取り申出」を行うことができます。市町村やあっせん者が買い取らない場合、制限が解除され、宅地として売却や活用が可能になります。ただし、先代が相続税の「納税猶予」を受けていた場合、この申出によって猶予が打ち切られ、相続税(+利子税)の納付が必要になるため、税理士など専門家との相談が不可欠です。


まとめ

生産緑地法は、市街化区域内の農地を「都市の緑」として保全するための重要な法律であり、税制上の優遇と引き換えに厳しい建築制限(営農義務)を課すことが特徴です。不動産取引においては、特に以下の2点に注意する必要があります。

🔑 生産緑地法における重要ポイント

  • 行為制限の原則禁止: 指定期間中は、原則として宅地造成や建築はできません(農林漁業用の施設のみ許可)。
  • 30年の期限と特定生産緑地: 指定から30年が経過すると買取り申出が可能になります。この時、「特定生産緑地」に指定されると、税制優遇行為制限が10年延長されます。指定しない場合は、固定資産税が宅地並み課税に移行します。

売買・仲介に携わる宅地建物取引業者は、この行為制限の有無、期間、そして特定生産緑地の指定状況が、買主の土地利用計画や経済的負担に直結するため、正確な情報を提供し、買主の意思決定をサポートする責任があります。

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✍️ 執筆者

小野 海士
宅地建物取引士 | 不動産実務15年 株式会社オッティモ 代表取締役

❓ よくある質問(FAQ)

Q 空き家を売却する際に必要な書類は何ですか?
A

空き家を売却する際には、以下の書類が必要です:

  • 登記済権利証または登記識別情報
  • 固定資産税納税通知書
  • 建物の図面や測量図
  • 身分証明書
Q 査定にはどのくらいの時間がかかりますか?
A

通常、現地調査を含めて1〜3営業日で査定結果をご報告いたします。お急ぎの場合は、最短即日での査定も可能です。