密集市街地整備法とは?「防災街区」の建築制限と届出を解説|重説シリーズ㉑
密集市街地整備法の「防災街区」における建築制限と届出を徹底解説。防災街区整備地区計画の仕組み、建築物の制限内容、届出手続き、重要事項説明のポイントを初心者にもわかりやすく図解します。
📑 目次
密集市街地整備法とは?「防災街区」の建築制限と届出を解説|重説シリーズ㉑
❓ 「密集市街地」って、どんな場所のこと?
❓ 「防災街区」に指定されると、古い家の建て替えが難しくなる?
❓ 道路を広げるために、土地を提供しないといけないの?
この法律は、正式名称を「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」といいます。地震や火災に弱い木造密集地域を、燃えにくい安全な街に作り替えるための法律です。不動産取引では、対象エリア内での建築の届出(30日前ルール)や、事業区域内での厳しい建築制限(許可制)が重要なポイントになります。
🔥 法律の目的と役割:燃えない街へ作り替える
阪神・淡路大震災(1995年)では、木造住宅が密集した地域で大規模な火災が発生し、狭い道路が避難や消火活動の妨げとなって、甚大な被害をもたらしました。
この教訓から、1997年(平成9年)に制定されたのがこの法律です。目的は、**「延焼防止」**と**「避難経路の確保」**です。老朽化した木造住宅を、燃えにくい建物(防災街区)に建て替えたり、狭い道路を拡幅したりすることで、防災機能を抜本的に改善することを目指しています。
密集市街地整備法の主な目的
- 延焼の防止: 木造住宅を耐火建築物(マンション等)へ建て替える。
- 避難の確保: 狭い路地を広げて、消防車が入れる道路や公園を整備する。
- 土地の有効利用: 小さな敷地をまとめて共同化し、防災性の高い街区を作る。
(図解:木造密集地を、燃えにくい建物と広い道路に整備する)
🏘️ 重説のポイント①:「防災街区整備地区計画」の区域内(法第33条)
この法律で指定される区域の一つが**「防災街区整備地区計画」**の区域です。これは、都市計画法の「地区計画」の一種で、防災機能を強化するための特別なルールが定められたエリアです。
この区域内で、**「地区防災施設(道路や公園など)」**の予定地や、**「地区整備計画」**が定められている場所では、建築行為に**「届出」**が必要になります。
届出が必要な行為(法33条1項)
工事に着手する**30日前まで**に、市町村長へ以下の行為を**「届出」**しなければなりません。
⚠️ 届出が必要な行為
- 土地の区画形質の変更(造成など)
- 建築物の新築、改築、増築
- その他、政令で定める行為
※内容を変更する場合も、変更の届出が必要です。
🏗️ 重説のポイント②:「防災街区整備事業」の施行地区内(法第197条)
もう一つ、さらに重要なのが**「防災街区整備事業」**の施行地区です。これは、実際に古い建物を取り壊し、耐火建築物(マンション等)への建て替えと道路整備を**一体的・強制的**に行う事業です。土地区画整理事業や市街地再開発事業に近い強力な事業です。
厳しい建築制限(許可制)
事業の認可が公告されると、事業完了までの間、事業の妨げになる行為は厳しく制限されます。届出ではなく、**都道府県知事等の「許可」**が必要になります。
🚫 知事の「許可」が必要な行為(法197条)
- 土地の形質の変更
- 建築物・工作物の新築、改築、増築
- 重量5トンを超える物件の設置・堆積
※事業の障害になると判断されれば不許可となります。事実上の建築禁止です。
権利変換と使用収益の停止(法第230条)
この事業では、「権利変換」という手法(第18回:都市再開発法と同じ)が使われます。現在の土地や建物の権利が、新しい防災施設建築物(マンション等)の「床」や「敷地持分」に置き換わります。
権利変換期日以降、工事が完了するまでの間は、たとえ自分の土地であっても、工事のために**「使用・収益」が停止**されます。
📊 比較表:「地区計画」と「整備事業」の違い
同じ法律でも、エリアによって制限の強さが異なります。
| 項目 | 防災街区整備地区計画 | 防災街区整備事業 |
|---|---|---|
| 制限のレベル | 【中】 届出制 | 【強】 許可制 |
| 手続き | 着手30日前までに届出。 (不適合なら勧告) |
事前に知事等の許可。 (不許可なら建築不可) |
| 目的 | 個別の建替えをルールで誘導する。 | 一気に面的な整備・建替えを行う。 |
| 権利の移動 | なし(自分の土地に建てる) | あり(権利変換で床を取得) |
✅ 重要事項説明での扱いとチェックポイント
取引する土地がこの法律の区域内にある場合、宅地建物取引業者はその内容を重要事項説明(重説)で買主に説明する義務があります。
1. 重説で説明される項目
重説では、主に以下の点が説明されます。
- 法律名: 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律
- 区域の指定:
- 「防災街区整備地区計画」の区域内(法33条:届出)
- 「防災街区整備事業」の施行地区内(法197条:許可)
- その他の制限: 事業地内の場合、権利変換後の使用収益停止(法230条)など。
2. 買主・仲介業者のチェックポイント
新人営業マンや買主様は、以下の点に注意して確認しましょう。
密集市街地整備法 取引チェックポイント
- ① 「地区計画」か「事業」か?
「地区計画」ならルールを守れば建築可能ですが、「事業」なら建築は原則不可能です。どちらの区域に入っているかの確認が最優先です。 - ② 建て替えのルールは?
地区計画の場合、「耐火建築物にすること」「道路から壁を後退させること」など、厳しいルールが定められていることが多いです。コストアップ要因になるため確認が必要です。 - ③ 事業の進捗は?
事業区域内の場合、いつ立ち退きが必要になるのか、将来どのような権利(床)が得られるのか、事業組合などに確認する必要があります。
❓ FAQ(よくある質問と回答)
Q1: 「密集市街地」とは、具体的にどんな場所ですか?
A1: 「老朽化した木造建築物が密集」し、「道路や公園が不十分」で、地震や火災の際に「延焼や避難困難」の危険性が高い地域のことです。東京都の山手線外周部(木密地域)や、大阪府の市街地などが代表的です。
Q2: 防災街区整備事業で、土地を手放したくない場合はどうなりますか?
A2: 原則として「権利変換」により、現在の土地の価値に見合った「新しいビルの床(マンションの一室など)」を取得することになります。もし、どうしても新しいビルに入りたくない場合は、金銭補償を受けて転出(土地を売却して他へ引っ越す)することも可能です。
Q3: 「避難経路協定」とは何ですか?
A3: 住民同士が合意して、「災害時にこの道を避難路として使わせてもらう」と決める協定です。この協定がある土地を買った場合、新しい所有者もそのルールを守る義務(承継効)があります(法294条)。塀を作ってはいけない等の制限がかかる場合があります。
まとめ
「密集市街地整備法」は、危険な木造密集地を安全な街に変えるための法律です。防災のための強力なルールが適用されます。
🔑 密集市街地整備法における重要ポイント
- 「防災街区整備地区計画」内では、建築着手30日前までに「届出」が必要。
- 「防災街区整備事業」の区域内では、建築は原則禁止(「許可」が必要)。
- 事業区域では、最終的に土地が「権利変換」され、マンション等の床に変わる。
売買・仲介に携わる宅地建物取引業者は、対象物件が単なる「古い街並み」なのか、法律で「整備すべき密集市街地」として指定されているのかを調査し、将来の建て替えや権利変換のリスク・メリットを正確に説明する責任があります。
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❓ よくある質問(FAQ)
空き家を売却する際に必要な書類は何ですか?
空き家を売却する際には、以下の書類が必要です:
- 登記済権利証または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書
- 建物の図面や測量図
- 身分証明書
査定にはどのくらいの時間がかかりますか?
通常、現地調査を含めて1〜3営業日で査定結果をご報告いたします。お急ぎの場合は、最短即日での査定も可能です。