特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法とは?障害防止地区・特別地区を解説|重説シリーズ⑥
特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法とは?航空機騒音障害防止地区と特別地区の違い、建築制限の内容を初心者向けに解説。学校・病院・住宅の防音構造基準、建築禁止区域、重要事項説明のチェックポイントを網羅。
📑 目次
特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法とは?障害防止地区・特別地区を解説|重説シリーズ⑥
❓ 空港の近くの土地を買うけど、何か制限はあるの?
❓ 「航空機騒音障害防止地区」ってなに?家は建てられる?
❓ 「特別地区」になると、何がそんなに厳しくなるの?
この法律は、通称「騒音対策法」とも呼ばれ、成田空港や伊丹空港といった「特定空港」の周辺で、航空機による騒音被害を防ぐためのルールを定めています。特に不動産取引では、住宅が建てられるか、あるいは防音工事が必須か、という重要な制限に関わります。
✈️ 法律の目的と役割:騒音を防ぎ、土地利用を整える
この法律の正式名称は「特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法」です。その名の通り、特定の主要空港(特定空港)の周辺地域を対象としています。
主な目的は、航空機の騒音によって生じる障害(健康被害や生活妨害)を防止し、あわせてその地域の適正で合理的な土地利用を図ることです。
簡単に言えば、「騒音がひどいエリアには、なるべく学校や病院、住宅を建てないようにしましょう」「もし建てるなら、しっかり防音対策を義務付けましょう」というルールを定めた法律です。
この法律の2大ポイント
- 対象空港:すべての空港ではなく、「特定空港」(新東京国際空港、大阪国際空港など)が対象です。
- 目的:騒音による障害を防止し、土地利用をコントロールすることです。
🌍 2つの「騒音対策エリア」
この法律で定められるエリアは、騒音のレベルに応じて2種類に分けられます。不動産取引で最も重要なのは、この2つのエリアの違いです。
(図解:空港に近いほど制限が厳しくなるイメージ)
1. 航空機騒音障害防止地区(=防音工事が「必要」)
これは「航空機の著しい騒音が及ぶことになる地域」に指定されます。いわば「騒音対策ゾーン」です。
この区域内で以下の建物を建築したり、既存の建物の用途を変更してこれらの施設にする場合は、法律で定められた基準(遮音性能など)を満たす、**防音上有効な構造**(いわゆる防音工事)にしなければなりません。
⚠️ 防音構造が義務付けられる建物
- 学校(学校教育法1条に規定するもの)
- 病院(医療法1条の5第1項に規定するもの)
- 住宅
※建築はできますが、コストがかかる防音工事が必須となります。
2. 航空機騒音障害防止特別地区(=原則「建築禁止」)
これは、上記の「防止地区」のなかでも、**「特に著しい騒音が及ぶことになる地域」**に指定される、最も制限が厳しいエリアです。いわば「建築制限ゾーン」です。
この区域内では、騒音被害から住民を守るため、以下の建物を**新しく建築すること、または既存の建物をこれらの用途に変更することが原則として禁止**されます。
🚫 原則建築禁止となる建物
- 学校
- 病院
- 住宅
※このエリアでは、そもそも住宅を建てることができません。
📊 比較表:「防止地区」と「特別地区」
2つの区域の違いを、不動産取引の視点で比較してみましょう。
| 項目 | 航空機騒音障害防止地区 | 航空機騒音障害特別防止地区 |
|---|---|---|
| 通称 | 騒音対策ゾーン(ゆるい制限) | 建築制限ゾーン(きびしい制限) |
| 指定エリア | 著しい騒音が及ぶ地域 | 特に著しい騒音が及ぶ地域 |
| 住宅の建築 | 建築できる (ただし防音構造が必須) |
原則として建築できない |
| 不動産取引上の影響 | 防音工事のコストが建築費に上乗せされる。 | 重大。 住宅地としての土地利用が原則として不可能になる。 |
✅ 重要事項説明での扱いとチェックポイント
取引する土地が「特定空港」の近くにある場合、宅地建物取引業者は、その土地がこれらの「地区」に指定されているかどうかを調査し、重要事項説明(重説)で買主に説明する義務があります。
1. 重説で説明される項目
重説では、主に以下の点が説明されます。
- 法律名: 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法
- 区域の指定:
- 「航空機騒音障害防止地区」に指定されているか。
- 「航空機騒音障害防止特別地区」に指定されているか。
- 制限の概要:
- 防止地区の場合:住宅建築時に**防音構造の義務**があること。
- 特別地区の場合:住宅の**建築が原則禁止**であること。
2. 買主・仲介業者のチェックポイント
新人営業マンや買主様は、特に以下の点に注意して確認しましょう。
空港周辺物件 取引チェックポイント
- ① 「特定空港」かどうかを確認する:
この法律はすべての空港に適用されるわけではありません。まず、対象の空港が「特定空港」に該当するかを確認します。 - ② 「特別」の文字があるか最重要視する:
「防止地区」(建築OK、防音必須)と「特別防止地区」(建築NG)では、土地の価値が全く異なります。「特別」の文字がついているかどうかが、住宅建築の可否を分ける最大のポイントです。 - ③ 用途変更も制限対象であることを理解する:
新築だけでなく、既存の事務所や倉庫を買い取って「住宅にリノベーションする」といった**用途変更も制限対象**となります。
❓ FAQ(よくある質問と回答)
Q1: 「特定空港」とは、具体的にどこの空港ですか?
A1: この法律の対象となる「特定空港」は、法律の施行令で定められています。主なものに、**新東京国際空港(成田空港)**や**大阪国際空港(伊丹空港)**などがあります。時代によって対象が変更されることもあるため、取引の際は必ず最新の情報を自治体にご確認ください。
Q2: なぜ「住宅」がこんなに厳しく制限されるのですか?
A2: 学校や病院、住宅は、人々が長時間滞在し、静穏な環境を必要とする施設だからです。特に「特別地区」のような極めて騒音が大きいエリアにこれらを建てると、住民の健康や学習環境に重大な悪影響が及ぶため、騒音被害を未然に防ぐ目的で、建築そのものが厳しく制限されています。
Q3: 「防止地区」で中古住宅を買う場合も、防音工事が必要ですか?
A3: 法律で義務付けられるのは、あくまで**「新たに建築する時」**または**「用途変更する時」**です。したがって、既に「住宅」として存在する中古住宅を購入してそのまま住む場合には、追加の防音工事を法的に義務付けられることはありません。ただし、騒音は確実に存在するため、快適に住むために自主的なリフォーム(二重窓など)が必要になるかは検討すべきです。
Q4: 「特別地区」にすでに建っている家は違法なのですか?
A4: 違法ではありません。法律が施行される前や、地区が指定される前から建っていた住宅(既存不適格建築物)は、そのまま住み続けることができます。ただし、その家を取り壊して**「新しく建て替える」ことは、原則としてできなくなります**。
Q5: この制限は、住宅以外の「倉庫」や「工場」にも適用されますか?
A5: 法律で名指しされているのは「学校」「病院」「住宅」です。したがって、騒音の影響を受けにくいとされる「倉庫」や「工場」などは、この法律による建築制限(禁止や防音義務)の対象とはなっていません。そのため、空港周辺には倉庫や工場が集まりやすい傾向があります。
まとめ
「特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法」は、空港近くの土地の利用方法を左右する重要な法律です。不動産取引においては、以下の点をしっかり確認することが重要です。
🔑 騒音対策法における重要ポイント
- 「防止地区」の場合: 住宅は建てられるが、防音工事が必須となる。
- 「特別防止地区」の場合: 住宅は原則として建築禁止であり、建て替えもできない。
- 中古住宅の場合: 既存の住宅に住み続けることは可能だが、建て替えができない「特別地区」もあるため、将来的な資産価値に注意が必要。
売買・仲介に携わる宅地建物取引業者は、買主が「家を建てる」目的で土地を購入する場合、その土地が「特別地区」に該当していないかどうかの調査は、致命的な損害を防ぐために絶対不可欠です。
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❓ よくある質問(FAQ)
空き家を売却する際に必要な書類は何ですか?
空き家を売却する際には、以下の書類が必要です:
- 登記済権利証または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書
- 建物の図面や測量図
- 身分証明書
査定にはどのくらいの時間がかかりますか?
通常、現地調査を含めて1〜3営業日で査定結果をご報告いたします。お急ぎの場合は、最短即日での査定も可能です。