空き家の税負担を見直す 手放す時期と選択肢
固定資産税は原則、毎年1月1日の所有者に課されます。売却・贈与・相続土地国庫帰属制度を検討する際の違い、住宅用地特例や譲渡所得税、手続き上の注意点を整理します。
📑 目次
ミナお客様から「相続した空き家の固定資産税が重くなる前に、手放し方を決めたい」というご相談がありました。
タケさん結論から言うと、次の1月1日の前に、持ち続ける負担と手放す条件を並べて決めることだ。固定資産税は、土地や家を持つ人にかかる税金だよ。
ミナ住宅用地特例とは、どういう意味ですか。
リク手順として、住宅を取り壊した場合は、誰がいつまでに届け出るかを先に確認する形でよいですか。
タケさんその順番でいい。住宅用地特例は、住宅が建っている土地の固定資産税を軽くする仕組みだ。大阪市なら、取り壊しなどがあったときは住宅用地の申告書を出す案内がある。
納税通知書を開いた日に、次の1月1日を逆算します
大阪市では、固定資産税の納税通知書は毎年4月上旬に届き、税額は年4回に分けて納められます。相続した空き家の通知書を開き、4回の納付を見たときに、「このまま持つのか」と迷う場面があります。結論は、空き家を放置せず、次の1月1日までに手放す条件を整理することです。固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者にかかります。大阪市では、市街化区域都市計画法で、すでに市街地を形成している、またはおおむね10年以内に優先的・計画的に市街化を図る区域。原則として用途地域が定められます。内の土地や家屋には、都市計画税(=街づくりや土地区画整理の費用に充てる税)も固定資産税と併せてかかります。
税額を比べるときは、通知書の金額だけを見ません。課税標準額(=税額を計算する土台となる金額)と、住宅用地特例(=住宅が建っている土地の固定資産税を軽くする仕組み)が続くかを見ます。大阪市の固定資産税は、課税標準額に1.4%を掛けて計算します。都市計画税は、課税標準額に0.3%を掛けて計算します。住宅用地特例が外れれば、軽くなっていた計算の土台が変わります。手放す判断では、持ち続けた場合の税と、売却などで区切る場合の費用を同じ紙に書き出すことが出発点です。
売れないと言われた物件でも、相談はできます。再建築不可・残置物あり・長年の放置もそのままでどうぞ。相談は無料です。
無料で相談してみる大阪市の住宅用地特例による計算の土台
| 土地の区分 | 固定資産税の課税標準額 | 都市計画税の課税標準額 |
|---|---|---|
| 住宅1戸あたり200平方メートル以下 | 価格の6分の1 | 価格の3分の1 |
| 200平方メートル超の200平方メートルまで | 価格の6分の1 | 価格の3分の1 |
| 200平方メートルを超える部分 | 価格の3分の1 | 価格の3分の2 |
税負担が重くなるのは、住宅用地特例が外れるときです
住宅用地特例は、固定資産税がかかる年の1月1日に、土地が人の住む住宅やアパートの敷地として使われているかで決まります。横浜市では、店舗や工場の敷地、空地には、この特例はありません。空き家でも、建物があるだけで一律に同じ結論になるわけではありません。土地の状態と、市区町村からの通知を分けて見ます。
適切に管理されず、放置すれば特定空家等(=市区町村が状態の改善を求める対象となる空き家)になるおそれがある空き家は、管理不全空家等(=管理が不十分な空き家)として指導などの対象になります。管理不全空家等または特定空家等で、指導に従わず市区町村長から勧告(=必要な対応を求める通知)を受けると、敷地は住宅用地特例の対象から外れます。持ち続ける選択なら、勧告を受ける前に、状態を改善するか手放すかを決める必要があります。
ミナお客様から「建物を壊せば、固定資産税の負担もすぐ軽くなりますか」とご相談がありました。
タケさんそこは逆だ。住宅を取り壊すと、住宅用地特例が続くとは言えない。取り壊す前に、1月1日の土地の使われ方と申告を見ないと分からない。
リク大阪市では、取り壊した後の担当先と期限は決まっていますか。
タケさん大阪市では、市税事務所の固定資産税、土地を担当する窓口へ、住宅用地の申告書を毎年1月31日までに出す案内がある。
負担を止める判断を進める順番
手放し方は、名前ではなく負担の行き先で見ます
0円引き取り、引き取り費用を売主が負担する形(有償引き取り)、買取という言葉だけでは、税金や費用の結論は決まりません。金額を見る際は、0円で終わるとは限りません。0円より下、つまり引き取り費用を売主が負担する形になることがあります。土地や建物を手放す前に、金額、費用を負担する人、土地建物の持ち主を移す時期を整理します。
税務上の譲渡(=土地や建物の持ち主を移すこと)は、有償か無償かを問わず、資産を移す行為を含みます。無償で個人へ財産を渡す場合には、受け取った人に贈与税(=財産をもらった人にかかる税)が原則としてかかります。法人へ土地や建物を贈与した場合や、時価の2分の1未満で譲渡した場合は、時価で譲渡したものとして扱われます。言葉の印象ではなく、誰に何を移し、どの費用を誰が負担するかで整理します。
相続した土地であれば、相続土地国庫帰属制度も選択肢の一つです。ただし、建物がある土地は承認申請できません。抵当権(=返済がされない場合に備えて土地を担保にする権利)などがある土地や、境界(=隣地との土地の区切り)が明らかでない土地も申請できません。審査手数料は土地一筆当たり14,000円で、取り下げや不承認でも返還されません。承認後に負担金を納めた時点で、土地所有権は国庫に帰属します。
売却するなら、税金の計算期限も同時に見ます
土地や建物を売ったときの譲渡所得(=売却で出た利益を計算した所得)は、給与とは分けて計算します。課税譲渡所得金額は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引き、さらに特別控除額を差し引いて計算します。売却年の1月1日時点で所有期間が5年を超えると長期譲渡所得になります。5年以下なら短期譲渡所得になります。
相続した一定の被相続人居住用家屋または敷地等を売る場合には、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することが条件の一つです。売却代金は1億円以下である必要があります。相続人が3人以上で、令和6年1月1日以後に譲渡する場合は、この控除の上限が2,000万円です。対象となる家屋の建築時期や、相続後の利用状況などにも条件があります。
✅ 手放す前に紙へ書き出す確認項目
- 次の1月1日時点で自分が所有者か
- 土地が人の住む住宅の敷地として使われているか
- 市区町村長から勧告を受けていないか
- 住宅を取り壊した事実があるか
- 相続開始を知った日から3年以内か
- 売却代金が1億円以下か
- 国へ帰属させる土地に建物が残っているか
よくある失敗は、壊してから税金を考えることです
よくある失敗は、建物を取り壊してから、住宅用地特例と次の1月1日の関係を考えることです。建物を壊す判断と、土地の税負担を軽くできるかは同じ話ではありません。大阪市では、住宅を取り壊した場合に住宅用地の申告書を出す案内があります。先に通知書、土地の利用状況、市区町村からの通知を並べます。その後に、売却、引き取り費用を売主が負担する形、相続土地国庫帰属制度を比べます。
まとめると、固定資産税の負担を止める判断は、次の1月1日から逆算して進めます。住宅用地特例が外れる条件を見て、持ち続ける税負担と手放すための費用を分けて整理します。相続した空き家は、売却時の譲渡所得の特例も期限と併せて確認します。ご不明な点は、無料相談で個別にお答えしています。お気軽にご相談ください。
出典: e-Gov法令検索 / 国土交通省 / 国税庁 / 法務省 / 大阪市 / 自治体(city.yokohama.lg.jp)
この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取や売却のご相談を全国対応で手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
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