住宅ローン控除の基本と、家を買う・売るときの注意点
住宅借入金等特別控除は年末ローン残高の0.7%を所得税等から控除する制度で、新築原則13年・中古10年が対象です。所得2,000万円以下や床面積、省エネ要件などを整理し、初年度の確定申告や譲渡特例との併用不可、近年の延長・拡充も解説します。
📑 目次
スタッフお客さんから『住宅ローン控除ってよく聞くけど、結局なにがどう得なんですか?』ってよく聞かれるんですけど、私もうまく説明できなくて…。
スタッフ私も手続き面で『初年度は確定申告が必要なんですよね?』って聞かれて、毎回ふんわり答えちゃってます。
社長ええ機会や。今日は基本のしくみから要件、手続きまで順番に整理しよか。正式名称は『住宅借入金等特別控除』いうてな、ここから押さえていくで。
そもそも住宅ローン控除とは
住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。住宅ローン等を利用してマイホームの新築・取得・増改築等をし、自己の居住の用に供したときに、年末残高の合計額等を基に計算した金額を、居住年以後の各年分の所得税額から控除する制度です。
国土交通省の説明によれば、無理のない負担で居住ニーズに応じた住宅確保を促進するための制度で、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から控除します。所得税から控除しきれなかった額は、一定の範囲で翌年度の個人住民税から控除される場合があります。
制度の法的根拠は租税特別措置法第41条(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)です。
スタッフそもそも何で『ローンの残高』が基準なんですか?お客さんは『家の値段じゃないの?』って詰まりますよね。
社長ええとこ突くな。あくまで『借入金』が前提の制度やから、年末のローン残高が計算の基になるんや。それに対して0.7%を税額から差し引く、いうイメージやな。
スタッフその『借入金』にも条件があるんですか?
社長あるで。契約で償還期間が10年以上の割賦償還の方法で返すことになってる借入金等が対象や。短期で返すやつは対象外になり得る、いう理解でええ。
住宅ローン控除の主な利用要件(現行)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 控除率 | 年末ローン残高の0.7% |
| 借入金の要件 | 償還期間10年以上の割賦償還の借入金等 |
| 合計所得金額 | 2,000万円以下(令和4年度改正で3,000万円以下から引下げ) |
| 床面積 | 原則として登記される床面積50㎡以上、かつその2分の1以上を自己の居住の用に供する |
| 居住開始 | 取得の日から6か月以内に居住し、その後も年末まで引き続き居住 |
| 控除期間 | 新築住宅等は原則13年、既存(中古)住宅は10年 |
スタッフ床面積50㎡以上ってありますけど、ワンルームみたいな狭い物件だと使えないんですね…。
社長原則はそうやな。ただし新築住宅には40㎡以上に緩和する措置があってな。これは合計所得金額1,000万円以下の年分に限られるんや。
スタッフ中古はどうなんですか?築年数で弾かれるイメージがあるんですけど。
社長そこは緩和されてな。従来の『耐火25年・非耐火20年以内』から、『昭和57年以後に建築された住宅』、つまり新耐震基準適合住宅へ変わったんや。だいぶ対象が広がったで。
スタッフ新築だと省エネがどうこうって聞きますけど?
社長令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅は、省エネ基準適合が要件化されとる。性能の高い住宅は借入限度額の上乗せ措置もあるで。
環境性能と適用期限
住宅の環境性能等(認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅)に応じて、借入限度額の上乗せ措置が講じられています。ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅の証明には「住宅省エネルギー性能証明書」(令和4年3月31日国交省告示第455号で様式を規定)等が用いられます。
入居に係る適用期限は、現行制度では令和4年から令和7年までの4年間延長されていました。さらに令和8年度税制改正の大綱に住宅ローン減税の延長・拡充が盛り込まれ、関連税制法は令和8年3月31日に国会で成立し、適用期限は令和8年1月1日から令和12年12月31日入居までの5年間延長されています。
令和8年以降の改正では、省エネ性能の高い既存住宅について借入限度額の引上げと控除期間13年間への拡充、床面積40㎡以上への緩和措置の既存住宅への適用が行われます。
なお、増改築等も対象となり、適用には増改築等後の床面積が50㎡以上で2分の1以上を専ら居住の用に供すること等の要件があります。
控除を受けるまでの手続きの流れ
スタッフ初年度だけ確定申告で、2年目以降は年末調整でいけるんですね。これは説明しやすいです。
スタッフあと…家を売って買い替えるお客さんもいますけど、その場合って何か注意があるんですか?
社長そこは要注意や。入居した年、またはその前2年・後3年以内に、居住用財産の譲渡所得の特例、たとえば3,000万円特別控除や買換え特例を使うと、住宅ローン控除は受けられへんのや。
スタッフ売却側の特例と二重取りはできない、ということですね。これは事前に確認しないと事故りますね…。
社長そういうこと。買う側・売る側、両方絡むお客さんには特に早めに伝えてあげてや。
まとめ:実務者が押さえるべき要点
まとめると、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、租税特別措置法第41条を根拠に、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部は翌年の住民税)から控除する制度です。対象となるのは償還期間10年以上の割賦償還の借入金等で、合計所得金額2,000万円以下、原則として登記床面積50㎡以上(その2分の1以上を居住用)、取得から6か月以内の入居といった要件があります。
控除期間は新築住宅等が原則13年、既存(中古)住宅が10年です。新築には40㎡以上への緩和措置(合計所得1,000万円以下の年分)があり、令和6年以降に建築確認を受ける新築は省エネ基準適合が要件化されています。中古の築年数要件は新耐震基準適合住宅へ緩和されました。
手続き面では、最初の年分は確定申告が必要で、給与所得者は2年目以後は年末調整で適用を受けられます。また、売却側で居住用財産の譲渡所得の特例を一定期間内に使うと本控除は受けられない点は、買換えのお客さんに早めに案内すべき重要ポイントです。適用期限は令和8年度改正で令和12年12月31日入居まで延長されている点も、最新情報として押さえておきましょう。
出典: 国税庁 / 国土交通省 / zeiken.co.jp / e-Gov法令検索