引っ越したら登記も必要?住所変更登記の義務と2年の期限
引っ越しや結婚で住所・氏名が変わったら、登記の変更申請は2年以内が義務です。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料。相続登記との違いや、個人は申出がないと職権では登記されない点まで、条文にあたって整理します。
📑 目次
引っ越したら登記も必要?住所変更登記の義務と2年の期限
引っ越して住民票を移したあと、家や土地の登記はそのままになっていませんか。
登記に載っている住所を変える手続きは、いまは義務です。放っておくと過料の対象になります。この記事では、期限・過料・自分でやる方法を、条文にあたって整理します。
期限は「変わった日から2年以内」
まず条文をそのまま見てください。
不動産登記法 第76条の5(所有権の登記名義人の氏名等の変更の登記の申請)
所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったときは、当該所有権の登記名義人は、その変更があった日から二年以内に、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記を申請しなければならない。
読み取れることは3つです。
- 対象は所有権の登記名義人。つまり、その不動産の持ち主として登記されている人です
- きっかけは氏名・名称・住所の変更。引っ越しだけでなく結婚などによる改姓も含まれます
- 期限は変更があった日から2年以内
住民票を移した時点で、登記上の住所は自動では変わりません。登記は別に申請する必要があります。
怠るとどうなるか
同法 第164条第2項(過料)
第七十六条の五の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、五万円以下の過料に処する。
ここで大事なのは「正当な理由がないのに」という条件です。期限を過ぎたら必ず取られる、というものではありません。ただし、正当な理由に当たるかどうかは個別の判断になります。期限内に済ませるのが確実です。
また過料は刑罰ではないため、前科にはなりません。
相続の登記とは別の制度です
よく混同されますが、相続で不動産を引き継いだときの登記は、これとは別の義務です。期限も過料の額も違います。
| 住所・氏名の変更 | 相続による所有権の移転 | |
|---|---|---|
| 条文 | 第76条の5 | 第76条の2第1項 |
| 期限 | 変更があった日から2年以内 | 知った日から3年以内 |
| 過料 | 第164条第2項 5万円以下 | 第164条第1項 10万円以下 |
相続の方は、条文が「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内」と定めています。亡くなった日からではありません。
登記官が職権でやってくれる場合があります
すべてを自分で申請しなければならないわけではありません。
同法 第76条の6(職権による氏名等の変更の登記)
登記官は、所有権の登記名義人の氏名若しくは名称又は住所について変更があったと認めるべき場合として法務省令で定める場合には、法務省令で定めるところにより、職権で、氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記をすることができる。ただし、当該所有権の登記名義人が自然人であるときは、その申出があるときに限る。
ここが一番の実務ポイントです。
個人(自然人)の場合、「申出」をしない限り、登記官は職権で動きません。「そのうち役所がやってくれる」と待っていると、期限だけが過ぎます。
法人の場合はただし書きの対象外です。
自分で手続きするときの流れ
- 登記事項証明書を取り、いまの登記上の住所を確認します。法務局の窓口・郵送・オンラインで取得できます
- 住所のつながりを証明する書類をそろえます。住民票の写しなど。何度か引っ越している場合は、登記上の住所から現住所までがつながる必要があります
- 登記名義人住所変更登記の申請書を作り、その不動産を管轄する法務局に提出します
登録免許税は不動産1個につき1,000円です(土地と建物は別に数えます)。ご自身で申請することもできますし、司法書士に依頼することもできます。
よくある質問
Q. 何年も前に引っ越したまま放置しています。期限はどうなりますか?
A. 法務局にご確認ください。制度が始まる前から変わったままの場合の取扱いは経過措置で定められており、この記事では確認できた条文の範囲を超えるため、断定を避けます。管轄の法務局または司法書士にお尋ねいただくのが確実です。
Q. 転勤で数年後にまた戻る予定です。それでも変更が必要ですか?
A. 条文は「変更があったとき」としており、戻る予定があるかどうかで区別していません。住民票を移したのであれば、住所は変更されています。
Q. 複数の不動産を持っています。まとめて申請できますか?
A. 管轄する法務局が同じであれば、まとめて申請できる場合があります。登録免許税は不動産の個数分かかります。管轄が分かれていれば、それぞれに申請が必要です。
Q. 結婚して姓が変わりました。これも対象ですか?
A. 対象です。条文は「氏名若しくは名称又は住所について変更があったとき」としており、住所だけの話ではありません。
参照法令(e-Gov法令検索)
不動産登記法 第76条の2・第76条の5・第76条の6・第164条
免責:本記事は一般的な解説です。個別の手続きについては、管轄の法務局・司法書士にご確認ください。
この記事を書いた人
小野海士宅地建物取引士株式会社オッティモ 代表取締役
不動産実務15年。東京都荒川区を拠点に、相続・空き家・訳あり物件の買取や売却のご相談を全国対応で手がける。「他社に断られた物件」の相談を数多く受けてきた経験から、難しい不動産の手放し方を分かりやすく解説している。不動産業者向け業務SaaS「anken.」の開発者でもある。
公開日 最終更新
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